第一章 三節 招致

 視覚は機能していないみたいだ。それに嗅覚、味覚も。いや、できあがっていないと言った方が正しいのかもしれない。今私に許されているのは触覚と聴覚と平衡感覚の機能だけらしい。

 高速で飛んでいる。いや、高速で落ちているのか……?

顔を押し返すような風、耳に入る空気を切り裂く音と平衡感覚を頼りに状況を整理する。

 どうやら私は落ちているらしい。いつから、どこから落ちたのかは分からない。気が付いたら落ちていたという感じだ。しかし、問題なのはどこからどこに向かって落ちているのかだ。

 それが分からないのは大変まずいよな。

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