血界病院

@riririririri

第1話 まだ夢の中

繰り返す諸行無常な日常。自我が芽生えランドセルを背負い適度な青春を経て、特に近所のおばさま方に娘さんは立派ですねぇと褒められることもない程度の極めて「凡」な社会人になった。目を覚ませばけたたましく鳴り響くONE OK ROCKに苛立ちながらアラームを止め、いそいそと支度を済ませ満員電車に揺られながら社会の歯車として行動する一日が始まり、Twitterでバズってる犬猫の動画を見ながら寝る。私の日常とはこのルーティンによって成り立っている。はずだった。


今日もアラームが鳴る。

身体がダルい。きっと昨日旧友とたらふく飲んだせいだ。

あぁ胃がもたれてる。8月なのに随分涼しいな。冷房の切タイマーを付け忘れてしまったのかしら。

脳に伝わってきた感覚情報を断片的にボソボソと呟く。

辟易とした日常を始めるのがあまりにも億劫ですぐに起き上がれない。

人差し指の横腹で目を擦ると、まぶたにぬるっとした感触があった。


不可解で不快な感触の原因を視認するためまだうまく稼働しないしょぼしょぼの目を開くと、ぬるっとしたものを確認するよりも先に、自分がいる場所が「凡」な日常ではないことに気付く。


――…病院…?――


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