青年、ぼろ家

@11245

第1話

一戸建てだが、家の所々が古びて、ガタがきた雰囲気を出している家がある。

そこに一人の青年が住んでいた。

青年は、母父とも早くに亡くし、祖母と一緒に住んでいたが、その祖母も去年なくなり一人暮らしとなっている。

何故この家に住んでいるかと言うと、唯一母と父が残してくれた財産ということで離れると言う考えはなかった。

しかし、貯金も底をつき持っている金額もわずかで食べるものと言ったら、安売りしてしていたちくわだけなのだが、それは彼の好物頭からそんなに不満はない。

こんな生活を数ヶ月した頃、少し家の雰囲気が変わったような気がした。

それは彼の気のせいなのかもしれないが、畳や障子などが掃除もしていないのに綺麗になった気がしたのだ。

電灯にはよくカナブンや他の虫も多く飛んでいた気がしたが、それも何故かなくなり蛍光灯が部屋の隅々まで照らしている。

不思議に思い食べかけのちくわを箸で掴み辺りを見渡す。

特に変わったこともなくガラーンとした家なのはいつものことだ。

しかし

タンスの後ろから何やらごそごそと聞こえ、何事だと回ってみると、埃まみれの何かがいることに気づいた。

目を凝らしよくみると、小さな子が赤白の地を纏った髪のそれなりに長い子だと分かった。

その子も男に気づき少し奥の方へ引っ込むが、様子を見るようにしてこちらを伺っている、

小さくてでおいでおいでとちくわを見せながら誘うと、ちくわに誘われたようにして出てきた。コレが座敷わらしということを知るには少し時間がかかる。

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