第3話嫌われ者は期待する

 岩代さんとの事故から数日。僕はいつものように学校に来ているのだが……。


「視線を感じるぞ…。」


 それは、いつもの視線じゃなかった。嫌悪でもなく、麟弥りんやのような友好的なものでもない。それは、僕が今まで感じたことのない視線だった。


「ん? どうした?晴斗。道の真ん中で止まって」


「麟弥、なんだか視線を感じるんだ。いつもとは違う視線なんだけど……」


「それ、ついに殺意が出てきちまったんじゃね?」


「そんなぁ……」


 殺意とか、やめてほしい。というか、僕はまだ死にたくない!! 一体誰が僕を見ているのか。僕は気になったので視線のする方に向いた。そしたら……そこには、木の陰に身を隠している岩代さんがいた。


 ……岩代さん!?


 岩代さんは僕が見ていることに気づくと逃げるように校舎に入っていった。


「麟弥、僕の事見てたの岩代さんだった。」


「はぁ?それなんてラノベ?俺にも貸せよ。」


 いや、ラノベじゃないし事実だし。どうしたものか……。まさか岩代さんが僕に殺意を!?


「晴斗、俺と岩代さんが同じクラスなのは知ってるよな?」


「知ってるけど……それがどうかしたの?」


「晴斗が今まで嘘をついたことがないのを知ってるから、きっと今回も見てたんだろ? なら俺がそれとなく聞いてくるよ」


 なんと! 持つべきものはやはり友人だな。


「なら、お願いできる?」


「まかしとけ!じゃあ今日の放課後、学校前のカフェに集合な」


 そう言って麟弥は校舎の中に入っていった。麟弥の報告が良いものであることに期待しておこう。

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