『若』
露草 はつよ
第1話『若』
今は夏休み。
夏休みといえば、海へ行ったり山へ行ったり、友達と遊びまくったり、自分の好きなことを何時間でもできる時期……の最後の五分だった。
「うわあああああ!! おわんねぇえええ!! どうしよう!! 朝日がっ!朝日が眩しいっ!!」
もう七時四十分だ、窓の外から見える光は朝日とは程遠い。そんなのにも関わらず、そう意地にでもそう自分に言い聞かせているのは一人の男子高校生。
その男子高校生は、定番の「宿題終わらせない人」であった。
いや、正確には「ギリギリにやり始めて、なんとか終わらせられるかもしれない」人だった。
「時間んんんんんんん!! 巻きもどれえええええ!!」
そう叫ぶ、男子高校生。
その叫びを聞いた彼の母親は彼の部屋の扉を乱暴に開けると、男子高校生以上に大きな声で彼に怒鳴る。
「うるさいっ!!! あんたいっつもそんなことして!! なんで反省しないの!! そんな事になるんならもっと前からやりなさいっ!! 自業自得よ!」
鬼面をかぶる母親に、言い訳がましく男子高校生は言い募る。
「だってさあああ、今日は朝二時に起きる予定だったんだよ!! それでやれば終わるはずだったのに!! 六時に起きちゃったんだよおお!!」
「はぁ!? じゃあ、あんた何時に寝たのよ?」
「九時」
「……、あんた本物の馬鹿ね。徹夜しなさいよ」
「嫌だよー。だって、お肌に悪いじゃん」
「…………」
真顔で言う自分の息子に母親はもう何も言えず、母親はその場を後にした。
その日、男子高校生は学校に遅刻。それと合わせて大量の宿題をやらなかった事に対して、全ての教科の先生に怒られ宿題を上乗せされた。そしてすべての宿題の答えを没収される事となる。
『若』 露草 はつよ @Tresh
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