ちょ、ま、あっ……そんな感じ?

 ここ……


 ……どこだ?


 俺……なんで……


 地面に……寝てるんだ?


 空が紅い……夕焼け? それとも朝焼け?


 考えがまとまらん……なんだっけ……えーと……なんだっけ……?


 ぐるりと首だけを回して辺りを見る……あれ? 目のピントが合わね。ぼんやり白い服の小さな女が踊ってるのが見える。

 妖精か? また出た。妖精なんて非現実的な……。いや待て、現実? 違う! 思い出した! RPGっぽい異世界なう!


 意識がはっきりした瞬間──


 バシィンッ!


 周囲を揺さぶる大音響と共に稲妻が落ちた。


 さっきのは妖精じゃない。遠くで巫女さんが魔法の準備の祈りの踊りを踊ってたようだ。稲妻の落下点では、巫女さんが準備したらしい焚き火がメラメラと燃え始めていた。

 ……派手なチャッカマンだな。身を起こそうとしたその時。


 いっ⁉︎ いででででででっ!


 思わずうめいてまた倒れる。

 あ、そか……クマゴリラとのガチバトルでボロボロにされたんだっけ。

 カッコ悪いな〜俺。最後は助けるはずの女の子に助けられて。アベさんのようには行かねぇや。……アベさん達、大丈夫かな? 無茶振りの人、竪琴の人、侍女さんたち、無事だろうか?


「ヒロ! 気ぃ付いたん⁉︎」


 巫女さんが駆けて来る。

 あれ? 巫女さんマントは?

 あ……俺に掛けてくれてるのか。道理でさっきからなんかいい匂いすると思った。


「おおきにヒロ! おおきに! うちな、ほんまに、ほんま〜っに怖かってん……死んでまうって本気で思たわ……」


 巫女さんは俺にすがるとぽろぽろ涙をこぼし始めた。


「ごめんな、ヒロ……ごめん。こんな……痛い目ぇみさせて」

──泣かないで、ン・ファタリ。無事で良かったです。

「やめてや! ン、なんて! ファタリでええよ。ヒロはうちの命の恩人なんやさかい」──そりゃお互いさまっす。……みんなは?

「判らん……無事とは思うけど、もう日も暮れるやろ? ここやで! って合図と焚き火の口火を兼ねて、カミナリ落としてみたんやけど見えたかな?」


 なるほど。この子賢いな……。


「何? うちの顔に何か付いとる?」

──や、いい考えだと思って。

「やろ? 下手に動き回らんと、ここで待ってみよ」

 巫女さんは少し離れた大きな木の近くに焚き火をセッティングしてた。

 肩を借りて移動。

 いででっ。いでっ。声を上げないよう我慢はするが、痛みを堪える身体の強張りで俺が痛みに耐えていることは巫女さんに伝わってしまったようだ。

「大丈夫?」

──死んではいません。

 そう言って笑ってみたつもりだったが、上手く行ってなかったかもしれない。

 木に寄りかからせて貰い、火に当たると、痛みも少し和らいだように感じた。辺りに静かに夜のとばりが降りる。あ、俺の剣! どうしたっけ?

「これ拾っといたで」

──あ、剣!ありがとう。


 賢いだけでなく気も効くなぁ。いや、その二つの要素は相関するのか?

 暗くなると探せないが、夜にもまだ武器が要る場面があるかもだからな。……もっとも今は俺がこんなだから、何も来ないことを祈るしかないが。


「さて、始めよか」

──え? 何を?


 巫女さん、俺の質問には答えずに、テキパキとおれの鎧や服を脱がし始めた!


──なっ、ちょ! ファタリ!

「ええから! ジタバタせんで! 脱がし辛いやんか。気ぃ楽にして。力抜いて。大丈夫。大丈夫やから。全部うちに……任せてんか」


 ええ! 任せたらどうなるの? 上半身裸にされた俺。巫女さんの右手が俺のみぞおちに当てられる。その掌はふわりと温かく、しっとりと柔らかい。

「身構えるとな、効きが悪なんねん。心を開いて……うちを、受け入れて……」


 巫女さんの左手がすっ、すすっと宙に何かを描く。巫女さんの唇が微かに動くと神秘的なメロディが流れた。言葉? 歌? 楽器の音? どれにも似てどれでもない旋律。

 次の瞬間、みぞおちの手がぼんやりと輝き、温かい、いや、熱い何かが俺の中に流れ込んで来る!


 これ! 回復魔法か! すげえ!

 

 俺、回復魔法で治療されるの初めてだよ。当たり前だけど。なんか感動。

 なんだろ、胸から体の末端に向かって熱めのお湯が流れ込んで行くような感じ? 命の力そのものを注ぎ込んで貰ってる感じ。

 それより何よりこれ、……あ、だめ……すご……気持ち、いい……あはぁ……ちょ、こういうもんなの?

 らめら、き、気持ち……うっ……よすぎるぅ。はぁ、ん……やばい。回復魔法やばい。


──ファタリ、あの、一回、止めて?


 巫女さんはやめない。手続き上、途中で止められないのか? ……ああっ……らめっ……ばかになるっ……溶けるっっ……もう……もう、どうにでもなれ……ってところで、はた! と魔法は止まった。

 ああっ、良かったような残念なような。


「ふう……久しぶりにしては上手くいったやんな?」

 ええ、そりゃもう必要以上に。

「どんな? 体の具合」

 あ……気持ち良さにかまけて気付かなかったけど痛みがない……。

──おお! 立ち上がれる! ってかむしろいつもより体軽いくらいだ! すごいなファタリ! きみ魔法の天才だ! すげー効き目! ありがとうっ!

「ふふ、見直した?」


 屈伸や前後屈など一通りラジオ体操してみるが全く問題ない!

 完全回復のベホマに当たる魔法か。


──こんな大技使ってファタリは大丈夫?

「うち? うちは平気。月の神様の御力を借りての魔法やから……」

 赤い頬でうつむく巫女さん。

──どうした? やっぱ無理した疲れが?

「……服、もう着てええで」

──……あ!



 焚き火の火でクマゴリラの肉を焼く。


 通常ならナイフがあるので、肉を捌くのも、肉を刺す焼き棒づくりもナイフの出番だが、今日は無理やり俺の剣で。倒したクマゴリにいつもの黙祷してたら巫女さん不思議そうにしてたよ。……これ、アベさん独自のローカルルールなのね。

 ナイフの入った道具ザックも、着替えが入った通学バッグもかなぐり捨てて走ったからな。マントはクマゴリが谷に投げちゃったし。今の俺の所持品は鎧と剣のみ。無料アプリのアクションRPGのキャラかって。

 びゅう、と風が吹く。……寒い。ぶるっと身震いすると巫女さん、ずい、と寄って来た。俺にくっついて自分のマントを二人にかける。……近い。近いぞ。体温……体温!


「オオサカの話、聞かせて」

──誤解を解いておきたいんだが、オオサカって世界の名前じゃないぞ。街の名前だ。

「えー、そうやったん? カオルがオオサカ帰りたい、オオサカ帰りたいっていつも言ってたさかい、うちてっきり……」

 カオル? ああ、異世界迷子の先輩の。気持ちは解る。俺も南越谷が恋しいし。


──カオルさんと仲良かったんだな。

「おもろかったで、カオル。いつも冗談ばかり言うて、うちを笑かしてくれてん。オオサカの話も一杯してくれてや。ドートンボリ、ツーテンカク、ハンシンタイガース、食い倒れ人形……」

 あれ? 食い倒れの奴ってお店潰れたんじゃ? と思ったが黙っといた。


「ヒロはタコ焼き食べた事あるん?」

──ああ、まあ。

「ええなあ、あつあつで美味しいんやろ?」

──そだな。今日みたいな日に、友達や好きな人と食べると最高だ。なんか笑顔になる。

「ヒロの世界は魔法にあふれとるなぁ」

──え? いや……そうかな。

「笑顔の魔法や」

──どゆこと?

「カオルはいつも周り笑かしてた。タコ焼きは食べると笑顔になる。知ってるで。ヨシモトシンキ劇。テレビって道具で舞台が観れるんやんな。家族みんなで大笑いするんやろ?」

──……うん。

「ユーエスジェーに行けば神話や物語の世界に入って遊べる、カイユーカンでは世界中の魚が観れる。子供は大喜びやろな……」

──そうだね。子供だけじゃないよ。大人も大騒ぎだ。子供みたいに。

「この世界には、そんなもんなんもない。日々生きて、掟や身分に縛られて、病気や魔物に怯えて、年老いて……死ぬ」

──…………。

「前に扉閉めに行った巫女さん、帰ってこんかってん……」

──えっ⁉

「巫女さんだけやない。ウェルトゥを目指した十三人のうち、帰って来たのは騎士一人だけ。傷ついて。正気を失って。その死の床でのうわ言を記したのが今ある伝承や」

──……死んだのか? その一人以外は、みんな?

「判れへん。帰ってこんかった人らがどうなったのか、どこにも書いてないねん」

──みんなはそのことを?

「もちろん知ってるで。承知の上で志願した人らばかりや。うちも含めて」

──なんで? 帰って来れないかも知れない……死ぬかも知れないんだろ?

「なんでやろな……。騎士としての使命感、名を上げたい功名心、歌のネタにしたい好奇心……」

 あー、竪琴の人。

「ン・アベェはヒロの為ちゃう?」

──え? 俺の?

「ヒロを連れてっていいなら引き受けたる。ダメならこの話はナシや、って」

──アベさん……。

「意外やったわ、あの返事。そもそもな、ン・アベェ自体もっと怖い人やって聞いててん」

──そうなのか。

「ン・アベェは魔の森に住んで魔獣の肉を食べる内に人の心を失った、いうてな。前に会った人は『冷たい石のような男』って」

──へえ……ピンとこないな。アベさん結構優しいし、割とニコっとかするぜ?

「魔法の力やな」

──またこの世界の不思議アイテムか何かか? なんか持ってたっけ? アベさん。


 巫女さんが笑う。あ、今の可愛い……!


「ヒロの魔法や。ヒロの世界の……笑顔の魔法」


 俺? またジョブチェンジ?


「一緒におったら解るわ。ヒロからは……なんやろな。匂いがすんねん」

 慌ててちょっと離れる。マントがはらりと俺の肩から落ちた。

 くんくん。体臭は自分でも気になってるんだよ……。だってボディソープどころかシャンプーもねえじゃん? できる範囲で清潔になるようにはしてるんだが……。

 巫女さん、また寄って来てマントを俺の肩に掛け直す。

「ちゃうちゃう。クサいって事やない。この世界の人にはない、希望の匂い。明るい明日を心から信じてる、爽やかな希望の匂い」

 希望の匂い……? いや……自覚ないなぁ。

「ン・アベェを変えたのは、ヒロや。ヒロの一生懸命さや欲の無さ、優しさは、接してて気持ちええ。騎士達もそうやで。たった二日でヒロの事をみんな好きになっとる。それだけやない。騎士達同志の雰囲気も柔らかく仲良うなっとる」

 ほんと? 前から今みたいじゃなかった? うーん……関西式の持ち上げといて落とすヤツ?


──持ち上げ過ぎだ。俺なんて向こうに……俺の世界に帰ったらどこにでもいる普通の大学……ワカモノだよ。

「ほんまにそうなん? 誰が来てもヒロみたいやった? あのカオルですら、時々泣き崩れて帰りたい、帰れないなら死んでまいたい、って」

──まあ俺は……まだこっちに来て日も浅いし、性分も呑気な方だから。

「ヒロじゃなくても、うちを助けてくれた?」

──…………。

「ィアゴ相手に命賭けて。ボロボロになって。力尽きて谷に落ちそうになってまで……」

──……助けるさ。同じ年頃の、男の子なら。

「嘘やん。泣きわめいて逃げるような人もおるやろ? みんながみんなヒロみたいなわけあれへん。それくらいうちにも分かるわ」


 ……やっぱ賢いな、この子。


「……ヒロ」

 巫女さんが潤んだ眼で俺を見る。なんだ……なんかヤバイ! 上手く説明できない焦りのようなものを感じて、俺は慌てて質問で返す。

──っ、ファタリはなんで志願したんだ?今回の仕事。

「うち?」

──司祭様の娘さんなら、暮らしに困る事もないだろ? 姉さんだっているんならファタリじゃなくても……。

「前に扉閉じに行った人たち、どうなったと思う?」

──さあ……言い辛いけど、それは、やっぱ……。

「他の世界に行ったんちゃうかな?」

──あぁ。確かにその目もあるか。俺もここにいるしな。生きたままだ。

「これはうちの想像やけど、扉って『向う側』からしか開け閉めできないんちゃうやろか?」

──なるほど。だとしたら前回の騎士や巫女さんが「向こう側」に行って、扉を閉めて、帰れなくなった、と説明できる。

「……うち、ヒロの世界に行きたいねん」


 やっべ! 今のすげえドキッとした。ちげえぞ俺! オオサカに、カオルが語った世界にってことだから! どうどうどう。落ち着け、落ち着け俺。


「向こうに行って、扉も閉じる。万々歳やろ?」

──……そうだな。

 それは好都合に好都合をのっけた希望的観測の高純度結晶だった。けれどその時の俺は、その結晶の輝きを信じたいと思った。

「こんなチャンス二度と再びけぇへん、これやーって思ってすぐ志願してん。ほらこれ」

──ん?

 ファタリは襟元の紐を外すとペンダントを見せてくれた。そのペンダントヘッドは……向こうの世界、俺の世界の家の鍵だ。見慣れたシリンダー錠の鍵。

「カオルの形見。死に際にうちにくれてん。せめてこれだけでも向こうに持って行こうと思って」

 カオルさん……考えることは一緒か。いつ帰れても、いいように。結局彼女は、帰れはしなかったわけだけど。

 俺も……あれえ? ない! 鍵ペンダント! どこ行った? さっき脱がされた時か? え、ちょっと、どこ? あれないと帰れたときだいぶメンドいじゃん! あ、あった! 良かった。服と一緒に脱いだのか。焦ったぁ。地面に落ちてたよ。

 焚き火のそばに落ちてたアパートの鍵。拾い上げて、巫女さんに見せる。巫女さんはちょっと驚いて、少し笑った。

「お揃いやね」

 クマゴリがいい焼き加減。塩でもあればな……。

 それでも空腹。食えば取り敢えず旨い。

 ファタリは食事が終わるとすぐ、うつらうつらし始めた。

「は、ごめ……ごっつい魔法重ねて使ったさかい……大丈夫。焚き火の見張り、交代やんな?」

──いいよ。焚き火は俺が見る。長い昼寝してるし。ファタリの魔法のお陰で絶好調だしな。

「でも……」

──無理すんな。目的地も近い。主役はファタリだ。眠むっとくのも仕事だろ。

「じゃ……歌、歌って」

──大阪で生まれた女? 聞いてその歌だとは判るが、歌詞を全部は知らない。歌えないよ。

「アンパンマンのマーチ」

──ええ……。

 ここでそれ来る? 結構いいシーン台無しじゃね? まあ煎じ詰めれば俺が悪いんだけどさ。

「……だめ?」

──分かった! 分かりました! 歌う! 歌うよ! 歌えばいいんでしょ。歌うからそんな目で見ないでちょうだい……。


 ん、ん。咳払い一つ。

 行きます。

 そっおっだっ♬ 嬉しいんだ生ーきる♫……ってもう寝てるんかい!

 はっや! 完全に俺にもたれかかって。すーすー寝息立ててる。


 ……あれだな。

 俺、間違ってたよ。

 出会ったばかりの頃、この子のこと初恋の先輩に激似って書いたけど、全然違う人だ。

 似てないや、全く。

 俺、今までこの子のことを全然きちんと見れてなかった。

 内面を見ないとみたいなこと言ってて、その実、完全に外見に囚われてた。

 この子はこの子の人生を生きて、色々考えてるんだな。この子の想い、叶うといいな。そしたら送って行くよ。大阪まで。一緒に回ろうぜ、さっき言ってた大阪名所。全部さ。



***


 RPGっぽい異世界なう。


 翌朝。太陽が丁度ぽっかりと山あいから顔を出す頃、アベさんたちと無事合流できた。


 昨日ファタリが使った雷の魔法は、やはり合図として伝わっており、朝イチ総出で迎え来てくれた。

 あれ? 人数減ってる?

 ……侍女さん、無茶振りさんがいない……まさか!

「ン・エレレンナンシュタトリトスはィアゴとの戦いで腕を折ったさかい都に帰した。やて」

 無茶振りの人……名前長っ!

 エレレ……何?

「奴も頑張ったで。一人でィアゴ一匹倒してん。腕一本と引き換えに」

 エレレ……えーと、無茶振りの人……おとこ

「ヒロに伝言や。最後まで付き合えんで残念や。成功を信じとる。アンパンマンの魂と共にあらんことを。やて」

 ……ここでも出ちゃうか。アンパン師匠。英雄って紹介に語弊が? これ今後も事あるごとにアンパンマン出てきちゃうやつ? 決戦シーンの見開きとかで俺の背後に影が濃いアンパンマンとか浮かんじゃうやつ? 何故こうなった。


 侍女さんはケガは大したことなかったが強いショックを受けてて、アベさんがこれ以上は無理と判断したらしい。

 無茶振りさんと侍女さんに一人ずつ元気な騎士が付き添って帰ったそうだ。

 減ったなー。

 残るは騎士五人にアベさん、俺、巫女さんか。

「ヒロ」

──へいアベさん!

「……話はン・ファタリから聴いたで。よう巫女を護った。立派だと褒めたいが、次からは自分の命も護りや。ええな。やて」

──……はい。

 なんか漫才の師匠にダメ出しされてる感あり。芸が荒いってことか。あ、てか怪我人たち、別に帰らせなくても巫女さんの魔法で治せたんじゃ……?

「うちもおんなじこと言うたけど、巫女が魔法を使える状態かどうか分からんのに置いとけん。はよきちんと治療せんと腕の骨が繋がらんようになるって」

 あ、そか。助けに行ったの俺だし、最悪助けられてないかも……は考慮するよな。流石アベさん冷静だ。頼りになる。

 俺もボロボロだけど騎士さん達も見回せば……ボロけてるな。クマゴリ戦の名残りか。ケガとかじゃなく、髪の毛とか鎧とかが。くたびれた感じに。無理もないか。

「ン・ヒロ!」

 あ、竪琴さん。無事で何より。

 また……何をそんなに早口で?

「ン・ヒロとン・アベェの歌を作らせてくれんか? って」

 またそれか……あんたそればっかだな。

──どうぞ。あ、一応アベさんにも訊いてくださいね。

「君ら師弟はめっちゃすごい。きっといい歌になるわ、やて」


 んー……なんか歌詞の中で話、盛られそうだな。俺が倒したクマゴリも体長10mで激しく炎を吹くとかになるんじゃ……。



 俺がクマゴリと戦った谷に沿って森を進むこと半日余り。

 森の奥ってこんなんなってたのか。谷もビビったが地形そのものに高低差がある。今歩いてるのは緩い下りの山腹。斜面は平地より疲れが溜まる。足の甲が痛い。ぼちぼち休憩してえなあ、なんて思っていた時。

「コ! ルゥ!」

 誰かが叫んだ。

「見てみヒロ! 見えたで。ウェルトゥ!」


 おお! ……あれが! ウェルトゥ……‼︎

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