第449話 末姫さまの思い出語り・その53
「この世界が女神のせいで中途半端で壊れやすくていい加減な世界として生まれたのはわかってくれたかしら」
母の説明は続く。
「
様々な出会いを通じて両親は『
「それで私達はこの世界を見守る者、いわゆる神になったの。兄様たちは私達二人を手助けする存在ね。ただし死んだ後で」
何が
要するに両親は私が考えるのを止めた選択肢、この世の神になったらしいことはわかった。
生きているうちは人間、死んでしまった今は・・・。
数十年前『大崩壊』の騒ぎが一段落した頃、世界各地の神殿の神官長に神託が下りた。
世界を創造した後に眠りについた神が目覚めた。
その神の名は『
地を治める『
全ての国よ、歌い
今こそ憂いの
「あれ、恥ずかしかったわあ ! 」
東西南北が勝手にやったのよ。
母たちは四神獣をそう呼んでいるらしい。
「だって、私たちまだ生きていたのよ。神位は得たけれど、まだ神様じゃない。それをあんなに持ち上げて。これは絶対バレちゃいけないと思ったの」
母が大地、父が空。
おじ様たちが夫婦で両親を支える。
ああ、なるほどそうだったのか。
「あなたが何を怖がっているのかなんとなくわかっていた。でもまだ成人してまもないあなたにどこまで話していいか判断がつかなかった。今はもう知ったからと言って悪用しようなんて考えないでしょう ? 」
お母様、その情報をどう悪用したらいいのかわからない。
「そもそも私たちがこの世界の神様になったのって、私とお父様が『
決して自ら神になりたいと思ったわけではないと母は言う。
おじ様たちはと言うと、こちらは両親を助けるためにと
だからエリアデルのおじ様は母のことを『諸悪の根源』と呼んだのか。
意に添わず巻き込まれたら、確かに一言どころか二言三言文句が言いたいだろう。
まあ、おじ様方が母を可愛がっていたのは知っているから、言葉そのものと思っているわけではないと思うけど。
「それで、お母様たちはこれからどうなさるのですか ? 天上で世界を見守られるのですか」
「それが一番楽なのだけれどね」
残念ながらと母は笑う。
『異世界転生』とやらでこちらに連れて来られた魂は元の世界には戻れない。
しかし体ごと連れて来られる『異世界転移』であれば、生まれ育った世界に戻ることが出来る。
たくさんの世界で攫われてきた人たちを、両親は助ける仕事をするのだと言う。
「さっきも言ったけど、世界が消えればそれに属する魂も消える。そして若い神々は本当に簡単に世界を作って潰すから、その前に主導権を握って世界とそれに属する魂を守らなければいけないの」
「それは乗っ取りとか侵略とか言うのでは ? 」
「そうとも言うわね。でも一人二人ならともかく、この頃はクラス全体、学校毎、一国丸毎なんてする神もいて、そこまで魂を持っていかれると、元の世界の存続に係わって来るのよ」
だから恩返しも兼ねて、少し頑張ってくるつもり。
だってベナンダンティになったおかげでお父様や兄様たちに出会えたのだもの。
「そしてあなたたちの母にもなれた。
さあ、もっとお話ししましょう。
朝はまだまだ先よ。
母は、はりあの屈託のない無邪気な笑顔で言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます