第333話 世界の幸せな終わり方
ギルマスと目が合うとニッコリと頷いているからそれでいいのだろう。
神様のお話は続く。
対価と引き換えにベナンダンティという異世界の魂を貸そう。
北と南に私たちの世界の神様はそう提案したと言う。
不安定なこの世界を期日までに完全な世界にすることが出来なければ、全てをただの力に変えて譲り渡してもらう。
『我ら一同、その為に奮起してまいりました。ですが、それは偽りだったのですか ?! 』
『それについては謝罪する。だが、そうせざるを得なかったのだ』
新たに生まれた神たちが作った世界。
それはほとんどがいいかげんな壊れやすい世界だった。
そして元になった乙女ゲーム『エリカノーマ』はとても単純な内容。
そのため女神はかなり手を抜いて作った。
『私が手を出さずとも早晩消えてなくなるような、そんな儚い命。もう召喚されてしまった魂。少しでも生き延びることが出来るよう手を出さずにはいられなかった。たとえそれが禁忌に触れようとも』
本来は他の神の
だがこれだけ多くの優秀な魂を盗まれて、今更誰が自分のことを非難すると言うのだろう。
フンっと鼻を鳴らしたような、どこか開きなおったような雰囲気が伝わってくる。
それだけ女神のしでかしたことに腹をたてていたんだろう。
神様はさらに続ける。
『神は自分の作った物に関して敏感だ。神獣という異物の存在が知られれば即、排除されるだろう。だからお前たちには自分がこの世界の一部、女神の創造物であると信じ込ませなければならなかったのだ。だがそれも杞憂だった。あやつは一度だってこの世界に目を向けなかったのだ』
若い神々は世界が完成すると、その成長具合を見に何度も訪れる。
どんどん変化していく世界。
それは創造主にとってとてつもない喜び。
だがある程度の期間が過ぎると、その成長は緩やかになる。
すると彼らはたちまち興味を失って、様子見の回数が減っていく。
その時期を狙っていたというのに、あの女神は作ったら作りっぱなし。
さっさと次の世界へ行ってしまった。
そしてせっかくゲームが終わったというのに、それに気づかずせっせせっせと新しい世界を作り続けている。
「もっともあの女神の作った世界はほとんどが消滅している。そういった世界の
『
私たちが丸く輪になって座っているその中を、四神獣たちはフワフワと浮いている。
最初の高揚した始めるような動きではなく、どこか不安を感じているようだ。
私が手を伸べると、彼らは私とアルの肩や頭にくっついてきた。
『私はこの世界の底上げに私の世界から人材を送り込んだ。お前たちベナンダンティという存在だ。この世界はその存在によって成熟していった。それがこの世界の崩壊を遅らせ、この世界の力となった』
神様の声が晴れやかになっていく。
とげとげしかった周りの空気も穏やかになる。
大きく息を吐いて、アンシアちゃんの身体から力が抜けた。
『ベナンダンティも四神獣も女神由来ではない。お前たちの力は女神の力を押しのけて、少しずつこの世界を侵食していった。そして長い時をかけて整えられた今、ここに女神の世界が終わり新たな世界が誕生したのだ』
そして私たちの世界の神様は、神様らしからぬことを叫んだ。
『ざまあみろ、駄女神がっ ! 』
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