第二章

 例の事件から二日が経った。僕が、あの少女との出会いを、心の中で整理する間もなく、こちらの学校に通う日がやってきたのだ。

 「行ってきます」

 制服は、日本の詰襟学ランとは違い、サラリーマンのワイシャツに近いデザイン。この服を着て歩くのも今日が初めてで、気持ちはなかなか落ち着かなかった。


 駅名と路線を確認しておけば、香港でも地下鉄には乗られる。定期券サービスがなかったことは意外だったけれど、キャッシュ機能の付いたICカードは、日本と同じように改札パスに使えた。

 僕は、思う。こうやって、一つ一つ、この街にも慣れていくのだろうと。

 それでも、胸の奥から、彼女のことが離れることはなかった。


 (※次回、ここから)

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