4 「え?」
「俺は、女子が、女性が、大好きだ!男子ども、お前らもそうだろう?女子が嫌いな男なんていないはずだ!いたとしたらそいつは普通じゃない!
だがしかし、いくら女子が好きでも、俺たち一般人はモテない。それは何故か。
答えは簡単だ!俺たちはモテる努力が足りないからだ!一般人だからモテない?カノジョなんてできるわけない?そんなことはない!俺たち一般人でも、イケメンじゃなくても、努力すればモテる!俺はそう信じている!
信じているからこそ、俺は『モテ方研究同好会』を設立することを、ここに宣言する。」
刹那、教室がざわめいた。まさかそんな馬鹿なことを本当にしでかすやつがいるとは。確かに、この学校では同好会の設立はメンバーさえいれば一年中認められているとさっき先生が言っていた。だが、入学早々、そんな馬鹿げた部活を作るヤツなんているわけない。そんな僕らの常識を、こいつはいとも簡単に壊しやがった。その勇気といかれ具合、半端ないな。
「俺についてきたい奴は今ここで手を挙げろ!」
いや、いるわけないだろそんなの。いくら高校生のモテたい欲求がすごいからと言って、いくらなんでも入る馬鹿はいないでしょう。
「「「「おお!」」」」
いたよ!クラスに四人もいたよ!
普通はいないだろうと思ってたのに、まさか四人もいるなんて。そんなことしてもみんながモテる予感が全くないんだけど、それは言わぬが花だろう。仮にここでそんなことを言っても、冷静じゃない彼らがまともになるとは思えない。数か月後にどんな姿になっているのかを楽しみにしておこう。金髪色黒ゴリマッチョの集団ができてそうな気もするけど。それは怖いな。
「ありがとう、石橋くん。じゃ、じゃあ、次の
苦笑いの先生は、さっさとこの場の変な空気を払拭しようと思ったのか、さっさと石橋君をどかせて、次の生徒の自己紹介を始めさせる。ナイス判断です、先生。あのまま続けていても何のメリットもなかったでしょう。あの場ではさっさと石橋君をどかせることが最善策だった。というか、次に自己紹介する戌井さんかわいそう。
だがしかし、戌井さんはよくやってくれた。完璧に『普通』な自己紹介のおかげで教室の空気が普通の状態に戻り、彼女のあとは何の問題もなく自己紹介が進んだ。この普通が何故か貴重なものに思えてくる。たった一人イレギュラーが混ざってただけで、こんなに普通が素晴らしく感じるなんて、恐ろしい男だよ、石橋君は。尊敬はしないけど。
「次、八番の
僕の隣の席の美少女は先生から呼ばれると、無言で立ち上がり黒板の前に立つ。
「わたしは、
「え?」
その紹介を聞いて、僕は思わずそんな声を漏らしてしまう。その声が聞こえた数人が僕のほうを向くけど、現在進行形で混乱状態の僕にそんなことを気にする余裕はない。
偶然か?いや、偶然にしては名前が似すぎている。けれど意味が分からない。何故その名前に似せる?もっと有名な人がいっぱいいただろう?何故『一つの朝焼け』という名前を選んだんだ?
様々な疑問が浮かぶ僕は、自己紹介を終えて椅子に座った彼女を横目に見て観察する。だか、彼女は今自己紹介している生徒のほうを見ていて、こちらに気が付く様子がない。自己紹介が終わって、放課後になったら話を聞こう。
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