第13話最終準備
13時になったか。上手いこと天音さんと矢田氏を講堂へと拘束することができた。この間に私は最後の調整をするとしようではないか。
しかし気になることが一つ。どうもさっきから姉上の気配をひしひしと感じている。あの感の鋭いあの人の事だ。これから大学中を震撼させるような発表をしようという時に邪魔をされては敵わない。矢田氏以上に警戒せねばならないだろう。
まあそんなことは二の次だ。今回はかなり張り切ってやらねばならない。
天気予報を見るに今のところ予想通りの風向きだが、風速は少々低いようだ。しかし、この程度ならば誤差だ。問題なく実験成功させることができるだろう。
「さて、ここから力仕事だな。あまりやりたくはないが、まあ仕方があるまい」
持ってきた荷物の中から強力なゴム紐を取り出した。
昼前にクロスボウのように組み上げた軽量金属の弓部にくくりつけた。
自力では引っ張れない。自作の巻き上げ装置を使って思い切り引き絞り巨大な留め具に固定した。そして矢ではなく木製の板を取り付けた。
「よし、角度も問題ない。あとは本番に備えるだけだな」
こうして作り上げたのはいわば発射装置。これを使って空に飛び上がるという算段である。
そうして飛び上がったところで私の作り上げた新型装置を使い指定の位置まで飛んでいくというのが狙いである。
私の計算によれば成功する可能性は85%はある。当然トラブルに見舞われれば地面に激突、そのままお陀仏となりかねない。そんな時のために自家製パラシュートも作っておいたので安全面にも配慮している。
いやはや我ながら素晴らしい計画。後は矢田氏の出方次第で決まると言っていいだろう。
「ふふふ、世界的音楽団の演奏はさぞ素晴らしく感動的な余韻を感じるだろう。だがそんなものかき消してくれよう!」
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