第2話 山吹の行く先、ひねくれ道也!

 バス無料券片手に私は最寄り駅前のバス停に走った。

 無料券には往復券とも書いてあるのだから、問題なく帰ってこれるし、どこまでとも書かれていない。

 という事ならあそこに行くべきだろう。


 私はバス停の時刻表を見る。


「ほうほう、大洗市行きはあと2分でくるのか。丁度良いではないか!流石は私だ」


 大洗市は私が住まうこの川原市から東に行ったところにある。

 なぜこの私が金欠の中、バス無料券を使ってまで行こうとするかといえば、興味深い物があるからだ。うまい飯が食いたいからでもなく、観光目的でもない。

 そこにはあるのだ!私の脳を刺激した興味深い奇妙なものか!

 目指すは大洗市夜須町。


 バス停にバスがやってきた。

 私はバスに乗り込むと適当な場所に座る。

  座席はほとんど埋まっていることには少しばかり驚いた。

 いっておくが、私とて驚くことはあるのだ。人間情緒というものはある方なのだ。

 運転手が扉を閉めるとバスは発進した。

 どうやら大洗市夜須町まであと13のバス停に止まるらしい。

 随分と長いことバスに揺られることになる。


 まあ仕方ない。

 こういう暇な時間はひねくれたことを考えておこう。

 なんせ夜須町にあるものは相当奇妙で、私のひねくれた頭をもってしても奇妙なものと言うほかなかったほどの異常な奇妙さとひねくれを感じるのだ。


 故に私は奇妙なものを理解し、更にひねくれた頭にしなければならぬ!


 私以上にひねくれた男はいないのだ。

 しかし、かといって油断してはならぬのだ。

 ひねくれた思考を止めてはならぬ!

 それが私、山吹修一郎という男なのだ。

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