第3話ひねくれ者に解けぬもの
私が大洗市夜須町のひねくれた奇妙な物を見つけたのは丁度一年ほど前のことだった。
大学の活動の一環として大洗市夜須町の中央公園の清掃をすることがあった。
私がそんなものを真面目にやるわけがないのに友となってまもない矢田氏に部屋から無理矢理引っ張り出され奉仕活動に行くことになってしまったのだ。
大学の大型バスに詰め込まれ、隣には矢田氏に哲学の堺先生が座り私に睨みを利かせていた。居心地が悪いことこの上ない。
矢田氏からはやれガキかだの、やれ少しは人の為になることをしろだのとギャーギャー言われ続けたのだ。苦痛でしかない。そんな時間が50分も続いたのだから全く勘弁してほしかった。
中央公園に着いたらついたで矢田氏と堺先生に鬼瓦のような顔をした長身でマッシブな生物学の金城茂助教授がつきっきりであった。私が軍手をつけてゴミを拾い矢田氏がゴミ袋を持ち、堺と金城が腕組みをして私を睨みつけていた。
皆も想像してみてほしい!鬼瓦のような顔したマッチョ助教授に静かな恐ろしさのある哲学の先生、それに平々凡々なまさに普通の男に囲まれて三時間の奉仕活動だ!どうだ?辛いだろう!?私は地獄であった!
そんな地獄を乗り越え休憩時間になった。
その時に見つけたのだ。その奇妙なものを!
公園の片隅の小さなモニュメント。1メートルほどの高さなのだが形がなんとも言えない形なのだ。
見ようによれば人に見えるが、なんでもないとも思いもする。何か意味があるようにも思えて何もないようにも思える。なんともひねくれたものだった。
私はこれを眺めてひねくれた脳をフル回転させた。しかし!何もわからなかったのだ!
こんなことは後にも先にもこの時だけであった。今世紀一のひねくれ者であるこの私がだ!故に、決めたのだ。必ずやこの私がこの奇妙なもののある意味を突き止めてやると!
そんな昔のことを思い出していると、なんと着いてしまっていた!
たまたま同じところで降りるおばさんがいたからよかった。私としたことが危ないところであった。
私は急いでバスから降りた。
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