第5話新・山吹式未来食事法

「まったくなんともわがままな男だな君という奴は……。では未来の食事法……」


「待て!それは前にも聞いたし、くだらなすぎてネタにもならない!」


 またあの下手くそな絵を見せ付けながら自慢げに話すのを聞くなんてとてもじゃない!


「心配するな。前話したものを元に新しいものをまた新たに考え出したのだよ。おなじはなしではない!」


 とか言ってまた同じ話をしだしたら思いっきり顔面を殴ってやろう。

 ……天音さんの前で暴力的なことをするというのは気がひけるが……。


「心配しなくても大丈夫ですよ。本当に新しい話ですから」


「なんだ?天音さんは既に聞いたのか?」


「ええ。まあでも私はSFじゃなくてミステリーを書くつもりですからネタにはならなかったんですけとね」


 ……なら何故こいつの元に来ているんだ?このひねくれ者と話しているくらいなら図書館とかでネタ探しをすればいいと思うのだが?


「ふふふ!まあそういうことだ。矢田氏よ我が声に耳を傾けたまえよ!」


 くそ!果てしなくウザい!何故命令口調なのだ!

 俺に話を聞いてもらえていることでいつも以上にウザくなっている!

 そんなに聞いて欲しかったのか!?

 ……なんだか寒気がしてきたぞ?


「さて、私の考え出した新たな食事法は前のものとはまったく別物だ。チューブに繋がっていない。しっかりと今のように食べる飲むが可能だ。だがしかし!食事は自動で用意され、食べるのも自動だ!私たち人間は動く必要がない!ただ口を開けて、噛み、飲み込むだけだ!これのメリットは仕事をしながらでも食べられる点にあるのだ!どうだね?素晴らしいだろう?」


「なら聞くが、食事の量とかはどうやって決めるのだ?」


「ふん!そんなものは全てAIに設定しておくのだよ。料理の作り方から量までな。しかも、機械制御だから栄養バランスも考えたものも作ることが可能だ!」


 ……。

 んんんんん?少し待て?


「……まともすぎやしないか?お前本当に山吹か?」


「おいおい何を言いだすのだ急に?話はここからだぞ?」



 話はここから?どういうことだ?


「ふっふっふ!普通で終わる訳がないだろう!この食事システムにはある機能がとうさいされるのだ!それは!」


「それは?」


「何回かに一度失敗した料理が出てくるのだ!」


「いらねぇーわ!!」


 まともすぎておかしいとは思ったけども!いや!何故そんな嫌がらせみたいな機能搭載させるんだ!?


「おいおい、たまには失敗した料理でも出さなければ楽しくないだろう?ロシアンルーレット的な要素だよ。日々に少しばかりのスリルを加えただけではないか」


「それがいらないんだって言ってんだよ!」


 何がロシアンルーレット的な要素だよ!ふざけるな!美味しい料理毎日食わせればいいだろう!このひねくれ者め!


「矢田さん逆に考えましょうよ!人間味が出ているともとれるじゃないですか?それに、ネタとしては面白いじゃないですか?」


 ……まあ確かに面白いネタではある。使えるといえば使える……のか?


「では、次の話に行って良いかね?」


 展開が早いな!

 まあいいネタは多い方がいいのだ。もう少し我慢してこいつの話を聞いてやる事にしよう。

 とりあえずこの話はネタとしてメモしておく事にした。

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