第102話 忍からカラスへと
自覚したのはもう五つの歳だった。
「やっぱり、ね。こちとら、終われないんだ。」
五つになるまでの記憶と、その前の記憶を整理する。
「これで…最初からだ。さて、ビャク様はどうなったかね。」
カラスの巣で死んで最低でも6、7年は経っている筈だ。
時間の経過がどうもズレているせいで感覚が掴めない。
捨て子…か?。
捨てられることに好かれてるのか
ただ、一つ、面白いことがある。
カラスとしてお呼びがかかった。
拾ってくれたのがカラスなんだから、そりゃその流れもなくはない。
「来い。ミヤビ。」
「はい。」
違和感もそのうち消えるだろう
ミヤビ…ね。
連れて来られた場所は、忍の里に近いような感じのところ。
「今日からここで過ごす。いいな?」
「はい。」
さてさて、好きなだけ探りを入れちゃおう。
歳をとった男がこちとらを見下ろす。
「ふん。赤目持ちか…。」
「確かにアレを思い出させる目ですが、大丈夫でしょう。」
「そうだといいが。」
アレ…といえば、
ま、ここで暴走起こすのはまだ早い。
「集団行動を早速叩き込むか。早めに色々と覚えさせておけば、問題ないだろう。」
「しゅーだんこーどー?」
「あぁ、直ぐにわかる。」
わざと子供っぽく聞いたが大した答えはない。
そりゃそうか。
面白くないし、叩き込まれる前に抵抗を重ねとくかね。
なーんて。
黒服を渡され、着ろと言われる。
それとカラスの仮面。
うっわぁ…動きにくいやつじゃん。
勝手にいつもの忍装束と同じように作り変えて、仮面も削ってつける。
どーよ、これ。
かっこよくなーい?
「おい、何してる。」
「どーお?
「はぁ…まぁ、いいが。」
いいのかよ。
もうちっと怒ってくれてもいいんだぜ?
ダメっていってもやるけどね!
「ここがお前の部屋だ。それとこの部屋のメンバーだ。いいな?」
「はーい。」
「うわ…赤目だぜ?」
「お前ら3人は見張りだ。もしコイツが何かしたら止めろ。」
「了解ー。」
最初から大人3人と一緒にガキなこちとら一人が生活とかイジメ?
とか言ってわかってはいるけどね。
男が出ていくと、3人が目の前にきて見下した目でこちとらを見る。
懐かしいなぁ…いつだっけかこんな
「おいチビ。」
「誰がチビだコラ。」
つい睨み付ける。
あ、そうだった、なんて思っても遅いわな。
「は?なんだコイツ。年上に向かってんな口聞いていいと思ってんのか!」
「どこの常識だよ。人間様じゃあるまいし。」
こうなりゃこのままでいてやる。
けど、今の発言は驚いた顔をした。
「お前…いつ教わった?」
「何が?」
「来たばっかりだろうが。人間じゃねぇっていつ教わった?」
「教わらなくともわかるんじゃない?道具風情が人間様の真似事なんざやってられるかっての。」
完全に口の聞きが子供じゃないし、可笑しい。
けど顔色が変わったのがよくわかる。
「そうかよ…。なら、遠慮は要らねぇな?」
その途端腕を掴まれて、床に倒される。
手首を縄で縛って、笑った。
やっぱりカラスってのは人間様に似てらぁ。
放り投げられて、閉められた。
「一週間そのまま生きてられたら出してやるよ。」
「頑張れよー。」
「これもカラスになるためだからな!」
笑い声が遠のいていく。
お馬鹿さんだね。
忍が耐えられないとでも?
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