第99話 例外任務依頼
「
床に正座してこっちを見上げてそう答えた。
耳を倒して本当に申し訳なさそうにしながらも、目だけはまったくそんな感情の色はしていない。
「報酬をつむと言っているだろう。忍は金さえ払えばいいんじゃなかったか?」
「あぁ、それはもう最っ高に嬉しい話と見えますとも!えぇ、つっかかりなくお受けしたいと思っておりますとも!お受けしたいところなんですが、中々そうはいかないんですよ。」
残念そうな声でまたそう重ねた。
調子が上手いのはそうだが、『無理なモンは無理!』と言っているように聞こえる。
結局この忍にとって美味い話か物足りないのかわからない。
「何が不満だ。元、伝説の忍には足りんか。」
「いえいえ!そんな不満だとかいう話ではなく!」
「もったいぶらずに言え。」
「忍は忍でも、既に
「知ってるが。」
何が言いたい?
「存じて頂いている通り、国王さんの忍ですしね。事が大きいんですよ。」
ちょっと首を傾けて、理解を求めるようにそう言った。
話が上手いタイプだとなんとなく察する。
「つまり?」
「主を置いて忍のみに他からの依頼をお受けすることは出来ないっていうことです。主を通してならば喜んでお受け致します。」
微妙な笑みでそう答えを告げたが、多分俺の都合を察していながらそう説明したんだろう。
「国王には内密に願いたいんだがな。」
「そうでしょうね。じゃなきゃ先にこちとらには話をもって来ないでしょう。」
ガシガシと頭を掻きどうしたものかと言うような反応をする。
ということは、自分としてはこの依頼を受けたいってことだ。
やはり主がつっかかるか。
「まぁ…例外として扱えばなんとか…なるかな?」
そうボソッと呟いた。
本心ということか。
「そういえば、他に手があったんじゃないですか?わざわざこちとらなんかに話を持ってこなくとも。」
「いや、忍のお前の腕は知っている。だから来た。」
「腕をかってくれるのは大変嬉しいんですが、そうそうこちとらも暇じゃないっていうか…。」
「あぁ…ずっと傍にいるらしいな。」
困ったような笑みを浮かべながらも、満更でもないようだ。
主の傍に居るのがどれだけ大変でも結局は報酬の為か、それか主に対しての忠義が熱いだけか。
「ご存じでしたか。まぁ、お話を詳しく聞かせ願えますかね?それから考えます。」
「いいのか?国王は。」
「おや、こちとらを何だと心得てらっしゃるので?『元』といえど、伝説の忍ですぜ?子守り程度、余裕ですよ。」
ニッと歯を見せて笑う。
子守りだとか言っているところから、国王を何だと心得ているのか逆に聞きたいが、今はいい。
「面白い奴だな。」
「お褒め頂き嬉しゅうございますってね。」
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