第93話 忍殺しの手の心臓
「むー。」
「どうなさいましたかな?ビャク様。」
「いや…師匠のことが。」
「あの忍ですか。」
「そうだ。…ここに居てくれればってよく思う。」
「ふむ…。忍は
そうだよなぁ。
師匠は主に絶対的かつ完璧(多分)な忠誠を誓っているっていうやつだし。
だからこそ、こう、俺のとこで…。
だって、マジでいたら凄いじゃん。
嬉しいじゃん。
しかも師匠を従者にするとか夢のまた夢じゃん。
あぁ…。
忍笛もないし…。。
「おやおや、そんなに溜め息ついて、どうしたっての?ガキ。」
「え!?」
振り向くと師匠が立っている。
嘘だろ!?
「王になった気分はどうだい?上手くやれてるかい?」
「あ、つかさっきガキって呼んだ!」
「おっと、それは失礼。ビャク様。」
また小馬鹿にしたようにケラケラと笑った。
でも、懐かしい感じがして、嬉しい。
「頼みたいことがあるんだ!」
「あー、そりゃちょいと待って欲しいね。こちとらの用が済まないと無理。」
手をヒラヒラと振って拒否られる。
早いし。
「じゃ、その用ってなんだ?」
「主を殺した
「ぶっ殺…。」
カラスを殺したって話…もしかして本当だったのか?
じゃ、師匠って殺人鬼!?
「敵討ちってやつかね。けどこちとらより
「嘘だろ。師匠より強い奴なんかいるのか?」
「あっはっは、お馬鹿さん。世界は広いぜ?」
「マジで師匠って性別不明な振る舞いするよな。」
「そりゃどーも。」
殺人鬼な師匠がずっと傍にいるのも怖いか?
っていうか、カラスの大量虐殺は大問題だしなぁ。
これはどうしたらいいんだ?
「なぁ、その敵って…。」
「そう、その話がしたくて来たのよ。王様ともなりゃ情報くらい拾えてんのかもしんないし、まさかの王様のお傍で働く身かもしんないしさ。」
なるほど。
流石師匠、そういうことか。
って、王を利用しようとしてるだけじゃねぇか!!
「どんな奴だ?」
「あれ…?この匂い…血…かねぇ?」
スンスンと匂いを嗅ぐ。
俺にはわからないけど師匠の嗅覚は驚異的だからしょうがない。
にしても血か。
「なーんでこんな城の中で、それも国王さんがいるっていうとこで血が匂う?可笑しいよねぇ。こりゃ、早々とお仕事達成かねぇ。」
師匠はニタァと笑って瞳孔を開く。
その表情はトラウマになりそうなほど怖い。
マジだ…マジのやつだ。
と、袋を持った男が歩いてきた。
「あ?なんでここにしのびがいやがる?しかもコイツ、殺した筈の…。」
「あぁ、ナルホド。国王さんに忍の心臓をご提供ってわけかい。
え?才造さん…の…心臓…?
殺した筈の忍…?
は?
「国王様。カラスの大量虐殺の犯人の一人である者の心臓を持って参りました。それと、ソイツは危険です。ソイツも犯人でございます。」
「はっ、そーいうこと。大したガキだわ。」
師匠の目の色が沈んで殺気を含め始めた。
違う…!
「待て!俺はそんな命令はしていない!」
「はい。ですが、これ以上の被害は不味いですから。駆除するのも当たり前かと。ですから、今からソイツも駆除するべきかと。」
「あらまぁ…これはこれは、美味な話ですこと。」
カラカラと乾いた声が転がる。
笑っててもこの笑い方は意識が遠退いてるってことだから、多分、ヤバいんだ。
どうすればいい?
殺されるよな。
確実に。
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