第81話 謎がまたからかう

才造サイゾウさんは、夜影ヨカゲのことどう思う?」

「それを聞いてどうする。」

「ど、どうもしないけどさ。なんか可笑しい。」

「あぁ、そうだな。夜影は陰が強いからな。気狂いしてても可笑しくない。」

「どういうこと?」

「珍しい体質ってだけだ。」

「ずっと気になってたんだけど夜影は女男どっちだ?」

「ワシに聞くな…。」

「え?なんで?」

「いい加減、薬を真面目に作れ。殴られるのはワシなんだぞ。ただでさえお前は異常なまでに薬を作るのが下手なんだ。集中しやがれ。」

「そうだけどさぁ…。」

「褒めるとするならば、本来作る筈だったモノではないモノを作る才能くらいだな。薬草を無駄にするな。採取が面倒だ。」

「難しいんだよ!」

「まるで兄弟だねぇ。才造兄ちゃん。」

「からかうな。誰がコイツの兄だ。」

「ちゃーんと薬作れるようになってもらわないと、薬を使った戦闘教えらんないでしょー。」

「お前、コイツは無理だ。時間の無駄だけじゃなく材料の無駄だ。」

「うーん…期待しちゃいないけど、もうちっと頑張ってやってよ。本当にダメなら別のを組み込むからさ。」

 頬杖をついて眺めながら目を細める。

 期待はしてないならもう別のでいいじゃんか。

 なんでこんな草が薬になるんだよ…。

「あ、夜影って男?女?」

「触ってみる?」

「え"?ま、ま、ま、マジで!?」

 と、いきなり才造さんにガツンと拳をいれられた。

いてぇー!」

「ガキが。集中してろ。」

「あっはっはっはっは、そうだねぇ、あは、あははははは!」

「お前はからかうなと言ってるだろうが!!」

「必死になっちゃってどうしたの才造?」

「ワシの薬で動けなくさせてもいいんだぞ。」

「才造の薬は効いたことがないねぇ、ふふ、何処にそんな自信があるのかな?ふ、は、ダメ、お腹いた、あっははははは!」

「笑いすぎだろうが。どうやったらそう笑えるんだか…。」

「ふぅ…疲れるわぁ。で、才造からみたこのガキの評価はいかほど?」

 ケラケラと笑っていたのをピタリと止めて首を傾げた。

 きっと、思いっきり笑っていたのも全部嘘だったんだと思う。

 何処までの笑みが嘘かそうじゃないかはわかんないけど。

「さぁな。薬はまったくだが、他はなんとかなるんじゃないか?忍としては期待出来んがな。」

「だとさ。ほら、頑張んな。未来の王様っ。」

 またケラケラと笑ってそういうことをいう。

「何なんだよ…。」

「そんじゃ、こちとらはそろそろ準備致しましょうかね。」

「早くないか?」

「あらま。才造が急かしたんじゃないの。だからここにきてんでしょ?」

「そうだが、日も高い内から…。」

「おいや?」

「そうじゃない。わかった、片付けたらすぐいく。」

「あんま待たせないでよね。」

 影を巻いて颯爽と姿を消し去った。

 何の準備だ?

「なぁ、今のは?」

「ガキは知らなくていい。特に、お前はな。」

「えぇ、何でだよ。俺だって子供じゃないって!」

「そうだとしても、首を突っ込むな。ワシに殴られたいなら構わんが。いや、それでは済まんだろうがな。」

「う…。」

 それは痛いし怖い…。

 あぁ、また薬が失敗だ。

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