第55話 帰る油断
「何処に……。ん?まさか…。」
そう呟きながら武器の刃を下に向けた。
あぁ、バレたか。
そのまま自身の影へ刃を落とされて、その刃を両手で挟んで止め、影から顔を出してみた。
「ご苦労さん。」
「お前…っ!」
「ここまで運んでくれりゃ充分。」
影から抜け出て目の前の扉へ歩く。
「待て!」
武器を振り上げるソイツを無視して扉を開いた途端、目の前から鉄球が飛んできたのでひょいと避けた。
するとソイツに直撃する。
「それくらい避けれないとはね。」
倒れ込むソイツを見ながらそう言っておいて、目の前の金庫を思いっきり殴った。
派手な音とともにその金庫は深く凹んだ。
なるほど。二発殴ればぶっ壊れるかな。
もう一発叩き込めばその金庫はぶっ壊れ、すんなり開いた。
中には金と封筒がある。
金も欲しいけどまずは仕事優先。
封筒を開ければ何やら文字が並んでいた。
金庫に入れるモノだから、何かしら価値はあっていいんだけど読めないモンは仕方が無い。
古代文字的な何かなのかもしれないし、そんなモンが何の役にたつかはわからない。
妖術を使うしか方法がないので、解読術で文字を
『死に損なった者から、魂を抜き出しこの世に連れてくる方法がある。もう助からない者に使えば永遠に共に生きられる。これは禁術であり、決して使ってはならない。この禁術とまったく同じ現象を起こしてしまう石がある。その石は千年に一度だけその現象を起こし、異世界から魂をこの世へ連れてきてしまう。その原因もわかってはいないが、魂を元の異世界へ戻す方法はその石をまず見つけることだ。研究からわかっていることは、石の存在と現象のみで、魂を帰す方法はまだわかってはいない。ただ、』
そこで途切れている。
古代文字的な何かというよりは、暗号化された文字だっただけなタイプか。
石…か。
どんな石かもわからないんじゃ探しようがないな。
けどなんでこんなモノがこの館で保管されている?
この館にそれが関係しているとしたら此処に住む人間から吐かせるか、まだ他にそういったモノを保管する場所を探し出すか……。
突然後頭部に痛みが走った。
ツーと血が頭から流れ、ポタリと床に落ちた。
ふらついて、金庫に手をついて踏みとどまり、振り返ろうとしたが直ぐにまた何かで殴られ、視界が床に落ちる。
「ふん。油断したな、馬鹿め。」
さっきの声が聞こえた後、意識が遠のいた。
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