第50話 伝説の
「痛ぁっ!?」
ガブッと耳を噛まれる。
その反射で肘を伝説さんへ思いっきりゴスッとぶつけた。
「(………っ!?)」
「え、あ、ゴメンね?今のは反射で…。」
何故かノリで謝ったけど、敵だからね。
決してあの
いっそ、そうならいいけど違うからね?
とかやってる場合じゃない。
尻尾を刃に変化させて、伝説さんを切りつける。
けど、いきなり手を離されたからそのまま落ちる。
地面に着いてから抵抗すりゃ良かったかも。
その先には伝説さんの
というか伝説さんが余計に風で動きにくくさせてるせいなんだけどね!
「く、ぅぅぅ…。」
武器にあと少し指が届かない。
そのまま敵の主に真っ逆さま。
檻の中へ着地した瞬間閉められ閉じ込められた。
「どうだい、檻に閉じ込められる気分は?」
「もうちょっと狭いと落ち着きますね。」
「そ、そうかい。まぁ、いい。君が従ってくれれば関係ない。」
「誰があんたに従うかっての。」
「そう言ってられるのは今だけだ。」
なにやら機械を取り出して、スイッチを入れる。
嫌な機械音が鳴り始める。
頭が痛いし、クラクラしてきた。
「ぅ………ぁ……気持ち悪…。」
立っていられなくなるほど、苦しくなる。
「さぁ、そこに伏せろ。」
嫌でも体が勝手に伏せる。
あ、でも、こっちの態勢のが楽…。
「ふん。どうやら実験は成功だな。このまま従わせて、
なんとなくアイツとやらが誰なのかわかる。
「起きろ。」
ゆっくりと体が起き上がる。
頼むから命令するならまとめて言って欲しい。
いちいち言われるのは何かダルい。
「君は何て名だ?答えろ。」
「
「何属性で、どんな能力を持ってる?」
「闇。影食い。」
口が勝手に問いに答えていく。
けど、本当に最低限しか答えないから、
「ほう。闇属性か。それは便利だ。」
ただ、段々イライラしてきた。
コイツにタダ働きで従うのは嫌だ。
大体、機械一つで思いのままになるほど、こちとらは安くはないんだな。
術一つでテメェの首を掻っ切るのはお安い御用なんだけどねぇ?
「本当に、便利だよ。あんたの忍やその機械よりかはね。」
昔の感覚だった。
記憶なんて捨てたモノだと思っていたはずなのに、体はよく覚えている。
意思が体を動かすのではなく、体に意思がついてくるように。
世界の色が白黒になって、血だけが鮮やかに舞い散る。
音が消えてただ影だけが揺れている。
一秒も要らなかった。
この手には、いつか欲しがっていた首があり、この足は伝説の忍を踏み付ける。
なんの感情も湧いてこなくなり、無駄に口が笑うだけとなった。
この口からはもう何も言うことは無かったし、声なんて出なくなっていた。
殺すつもりは一寸もなく、踏み付けたこの生き物を横目に、首を抱いて走った。
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