第47話 隠し武器

あるじー。天井見上げて思うことはありますか?」

「え?うわ、んなとこに槍!?」

「突然の敵にも武器をぐに取れるようにしてます。敵もまさか直ぐには武器の存在に気付けないでしょうし。」

 天井には鎖で槍を一本固定されている。

 鎖も直ぐに解けるようになってるらしい。

ちなみに武器を手に取るだけでなく、敵に落とすってのも使い方の一つです。」

 というか俺の部屋にいつそんなモンを?

 だが、あったら確かに安心だな。

「お前の部屋にもあるのか?」

「同じものは無いですね。こちとらはあの反転からくりの上に置いてます。」

「あったか?」

「んじゃ、見てみますか?」

 もう一度二人でそこへ行ってみる。

 何処に隠してあるんだろうか?

「上ですよ上。」

 見上げると手の届かない場所に刀が一本掛けてあった。

 俺の部屋のは立って手を伸ばせば届くが、これは無理だろう

「ここに手を起きまして、体を一気に持ち上げますと、刀の紐に爪がギリギリ届きます。」

 やって見せながらそう説明するが、思ったより夜影ヨカゲって力あるんだな、と思わせられる。

 ギリギリといったが軽く鞘を掴めている。

「ギリギリ?」

「見えにくいんですが、この刀の上にももう一刀ありますから。」

「取れるのか?」

「上の刀は天井裏から取る用なんで別にいいんです。」

「何処にでも行くな、お前…。」

「忍ですから。」

 忍はなんでも出来る魔法の言葉かよ。

 にしても忍だからこそサッとそういうことが咄嗟とっさでも出来るのか?

 見た目全然だけど、案外夜影も筋肉凄かったりして。

 才造サイゾウはまぁ凄いけど。

 ただ細いだけに見せて、実は色々と見た目で騙すタイプ?

「まぁ、ここらの武器はあんま使いませんがね。忍なんて体自体武器ですから。」

「え?」

「主、間違っても忍の血肉には触れない方がいいですよ。忍の血肉は毒ですから。」

 ニヤリと笑んで心臓の辺りに手を添える。

「体の何処に武器が仕込まれていて、隠されているかはその忍のタイプによって違いますから。才造もこちとらも伝説さんも戦忍ですからねぇ。上手く使って下さいよ?」

 そう残すと影を巻いて消えた。

 上手く、使って…か。

 まるで道具…いや、主の武器そのものだと言いたげだったな。

 俺の隠し武器は夜影と才造だってことか?

 あんまり良い気はしないな。

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