第24話 敵襲

 相変わらず夜影ヨカゲの尻尾をいじって遊んでいる才造サイゾウを怒りもせずこれまた相変わらずの笑顔で何かしら作っている夜影を眺める。

 確か尻尾は敏感だからあんまり弄らない方がいいんじゃなかったかと思いつつ止めようとも思わない。

 静かな部屋に、夜影の手元から僅かな音がこぼれ落ちる。

 穏やかな朝に朝食も済ませた後のこの平和過ぎる一時が好きだ。

 ちょっと前にはあぁだこうだと騒がしく、慌ただしい毎日があったのだが、忍が来てからというもの、パッタリとその忙しさが消えた。

「才造、甘噛みしないの。」

「…………。」

「耳もダメ。」

「…………。」

「舐めないの。」

「………。」

「耳も駄目だってば。」

 そんな会話が聞こえる。

 会話といっても片方無言だったが。

 暇なのか、才造が夜影の尻尾や耳を噛んだり舐めたりし始めるし、それをトゲもないあやすような声で止めさせる。

 何故才造が夜影の尻尾等をいじって遊ぶのかは知らないが、本気で嫌がってる様子を見せないのだから良いのだろう。

 と、いきなり夜影がバンッと床を叩いた。

 才造はそれを合図にしてか武器を構えて周囲に警戒する。

 一瞬怒ったのかと思ったがそうじゃない。

「多い…。モンスターの大群、街に押し寄せて来ています。」

「街に!?」

「既に幾らか街に入り込んではいます。アジトにも数匹接近中。」

「クソッ!方向は!?」

「5時の方向、2体。8時の方向、1体確認!」

「その2体、ワシが貰おう。」

「なら、もう一体はこちとらが駆除しましょう。」

 二人は報告だけしてさっさと姿を消した。

 夜影の敵察知がかなり役立っている。

 さぁ、俺もここでのんびりしてる暇はない。

 ぐにでも仲間に知らせて戦闘準備だ。

 あの二人がいつでも戦える態勢をとっているからこそまだ余裕がある。

 見習うべきだな。

「夜影!」

「ハイハイっと。お呼びでしょうか?」

「街に入り込んだモンスターの数はわかるか?」

「全ては流石に数えてられませんが、街の中のモンスターを全て駆除しようとするなら出来ますが。」

「街に向かってるモンスターの大群が街に着くまでの猶予ゆうよは?」

「早くて1時間ってとこですかね。」

「頼めるか?」

「街の害虫駆除はお任せ下さい。」

「よし、頼んだ。」

御意ぎょい。」

 また、忙しくなるのか………。

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