第23話 能力

「あの影は能力じゃないんですか?」

「あれは忍術と妖術の組み合わせですから。」

「にんじゅつとようじゅつって何?」

「あ、もしかして戦闘祭で会ったあの魔術と結界術ってもしかして能力…?」

 話が難しくなる。

 ということで説明を挟んで整理してみると、術=能力ということがわかった。

 だが、既に扱える術全ては能力にカウントされないみたいで三忍さんにんは能力が多いだけ…だと思えばいいってことだ。

「この世界結構忍に易しいなぁ。」

「で、能力は何なんだ?」

「『影喰らい』って能力名です。」

 わからないので使ってみて貰うことにした。

 どうやら相手の影を名のまま喰らい、相手を治癒不可、蘇生不可、体力減少、即時ダメージ10秒、盲目状態にさせ、尚且つ自身は治癒能力上昇、蘇生スピード上昇、体力上昇、状態異常回復、即時回復60秒間、するといったもの。

 一度に相手三体が限度で能力数値がごっそりもってかれるみたいだ。

「ワシは『毒草牙』だな。」

 効果は、スピード上昇、自分の攻撃に毒効果を付与。

 相手を麻痺、毒状態、弱体化させる。

「明らかに夜影ヨカゲの能力が便利過ぎるが、闇属性特有か?」

「闇属性は能力が凄い人ばっかりだから、闇属性さえ敵に回さなければ多分大丈夫なの!」

「あ、夜影限定ではないと。」

「寧ろそうじゃないと可笑しいけどね。」

「あ、紹介しとくと俺は『延炎』だ。」

 相手を即時ダメージ30秒(火傷)、スピード減少させる。

 俺は火力上昇、炎属性攻撃軽減する。

「私は、『天からの贈り物』!」

 味方全員に即時回復30秒、状態異常回復、蘇生を行う。

 自身には防御上昇。

 相手に火力減少30秒。

 能力数値を夜影同様ごっそりもってかれる。

「こちとら能力禁止にしようかな…。」

「私はピンチの時だけが出番だよ!」

「夜影、お前は強敵にだけ能力使え。」

「伝説さんとか?」

「あぁ、現時点ではそのくらいだ。」

 なるほど、羨ましい限りだ。

 手を抜く余裕がない弱いチームにこんな切り札がいるというのは心強過ぎて寧ろ俺の心が即時ダメージくらってる。

「でもこちとらの能力って結構自己中ですよね。ついでに皆も同じ状態にすりゃいいのに。」

「それが相手にとっちゃせめてもの救いってやつだろ。」

「あぁ、なるほど。」

「そこまで出来りゃ、お手上げになるからな。」

「もしかして、『能力使用不可』状態にさせる能力ってあったりします?」

「あるよ。確かカメルが使ってたよ。夜影さんに。」

 あぁ、そういえば使ってたなぁ。

 あの時は効果がでなかったから皆驚いたけど、今思えばそりゃそうだと笑うしかない。

 あの影は忍術と妖術の組み合わせ技だったんだ。

 能力にカウントされないから、能力使用不可しても仕方がなかったし、その頃はまだ夜影は能力なんか知らなかった。

 都合のいい偶然だな。

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