第22話 属性

「で、どうなったんだ?」

「駄目だったわ。」

「そうか。」

 オルカは残念そうに項垂れた。

 まぁ、俺はそういうのはどうでもいいし、夜影ヨカゲはいつも通り変わらぬ顔で働いているのでこの件は放置しよう。

「夜影さんの属性って闇ですよね?」

「属性ですか?」

「はい。影を操っているのでそうなのかとばかり。」

「それは、どうやったら確認出来るんでしょうかね?」

 メルから唐突に属性の話を振られても自然と会話してツッコミさえ入れないのは慣れたってことか?

 メルの説明を受けると、試しに確認を行う。

「あー、闇属性ですねぇ。才造サイゾウは?」

「ワシは草だな。」

「伝説さんは…風…と。ってあんたいつ帰るのさ。」

 闇に草か。

 組み合わせとしてはどうなんだろうか。

 闇属性がこのアジトに居なかったせいもあって詳しくない。

 草なら居るし聞けばいい。

「私はね、光だから闇と真反対なの。闇は光以外の属性を相手にするのはタフで強いけど、光を相手にすると弱いって聞いたわ。」

「へぇ、光……ねぇ。」

 それすら知らなかった俺はちなみに炎属性だ。

 炎は水属性に弱いし、水属性は雷に弱いから、雷属性に水相手の時は守って貰うことがあったりなかったりする。

 今聞いた感じ、闇属性は結構有難いんじゃないか?

「光も他属性相手じゃタフだったりする?」

「うーん、そうでもないかな。闇属性のことはよく知らないけど、光属性は治癒能力がずば抜けて高いから闇と組んだらかなり強力だっていうのは知ってるよ。」

「そうなのか!?」

「うん。だって闇属性って凄い便利らしいし。」

 本を抱えたままぴょんぴょんとジャンプする。

 そういえばその本は…?

「あ、この本に闇属性のこと書いてるから読んでみて!」

「わぁ…分厚い!」

「頑張ってね!」

「これは辛いなぁ。」

 そういいながら早速開いて読み始めた。

「あー、闇属性は基本的に最初から数値が全部高いんですね。治癒能力はずば抜けて低いんで回復は自分でやるよか他人に頼んだ方が良いようですよ。ですから光と組めば本当に面倒な相手ってことですね。」

 ペラペラとページをめくっていく。

 読む速さがかなり早いから多分流し読みでもしているのだろう。

「あー、闇はれと組んでも相性が悪いことはないみたいです。」

「お前が闇なのは面倒だな。笑えるくらいに。」

「味方の内は心強いでしょー?」

「元からだな。」

 そうか、属性の前にこいつら忍なんだ。

 基本数値が全体的に既に高いんだからそれに闇属性が重なってえげつないことになってんのか。

 風属性はスピードがずば抜けて高いが火力は劣る…がそれは忍の数値でカバー出来ちまっててそもそもが速いからえげつないスピードなんだろうな。

 メルと本の情報をまとめて属性をみると、

 闇

 ずば抜けて治癒能力が低い

 スピード、防御、火力、能力、体力は高め

 ダメージ軽減

 光属性に弱い

 光

 ずば抜けて治癒能力が高い

 防御が少し高め

 闇属性に弱い

 風

 ずば抜けてスピードが高い

 火力は低め

 草属性に弱い

 草

 ずば抜けて能力数値が高い

 防御は低め

 炎属性に弱い

 炎

 ずば抜けて火力が高い

 スピードは低め

 水属性に弱い

 水

 能力数値と治癒能力がそこそこ高い

 防御とスピードは低め

 雷属性に弱い

 雷

 ずば抜けて体力が高い

 能力数値は低め

 風属性に弱い

 となる。

 オルカは水属性、メルは光属性、俺は炎属性、あと二人雷と草属性がいる。

 最初の基本数値はそんな感じだが、それぞれ鍛えたり戦い方を工夫したりでカバーしている。

 コイツらのいた異世界じゃ属性もなかったのか。

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