第18話 忍だって恋をする

「本当…とんだ猫好きさんと出会っちゃったわ……。」

 夜影ヨカゲがそう呟いて席を立った。

 呼び止めようとすると「ご飯作るんで。」とだけ先に言われ、口を閉じた。

 しかし、この無口二人(才造サイゾウは一応喋ってくれる)の前に一人だけ残されても困るというもの。

 拉致らちするっていうのは夜影が強いから吸収しようとしているってことか?

 で、それをなんとしてでも阻止しようと才造が睨み付けた、と。

 だが、それならあんな睨み付けあいの喧嘩をしなくたって、コイツらなら戦って相手を動けなくしてしまえば充分なんじゃないか?

「あら?新人さん?」

「あ、いや、そうじゃなくてだな。」

 オルカに説明をするとパンッと手を合わせて笑った。

「わかったわ!もしかして、二人とも影ちゃんのこと好きなんじゃないの?だーかーらー、そんな喧嘩しちゃうとか!」

「そんなことあるか?」

「でも、図星じゃない?」

 指差す先には顔をそむける二人がいる。

 その耳は赤く染まっていた。

 少し前に夜影から聞いた忍というものは、表面に感情は出さないだとか何だとか言っていたが、伝説の忍でさえも隠せていない。

「影ちゃんの取り合いしてるなんてロマンチック~!羨ましいわ!」

「んでも、そうだとしても、夜影は気付いてなさそうだが。」

「んー、そういうことに関しては鈍感なんじゃない?ここは思いきって好きって伝えるべきよ!うん!」

 一人で盛り上がってるが俺は恋愛には興味がないのでオルカに任せることにした。

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