第11話 抜刀才影 其の参
その円形の飛び道具を才造へと風を斬る音と共に飛ばす。
それを叩き落とした才造の背後に小刀を引き付け斬るモーションへと移るライチがいた。
才造からすれば、手裏剣に似た道具だと思うくらいで、ライチに回し蹴りを食らわせるだけ。
舌打ちをしてライチは後方へ戻る。
小刀を飛ばし、それをまた叩き落とす時にはまた別の武器が見えていた。
翼のような形をしたその武器は、何と呼ぶのだろうか。
「鳥が斬るのは風だけじゃねぇっ!!」
下から斜め上へ振り上げた瞬間に、斬撃が飛ぶ。
才造は刀を持ちかえて指を組んで上から斜め下へと斬るようにスライドした。
すると真似るように斬撃がそのライチの斬撃とぶつかって、強風を生み、消えた。
その風に逆らうように双方共に突進を始め、横に引き付け斬ろうとする才造の背後にはまたライチの飛び道具が追ってきていた。
しかし、先に刃同士をぶつけてすぐに横に反れたことが良かったのか、腕をかすめるのみに終わった。
休める程に二人の速さは遅くなく、離れようとも斬撃が襲う。
才造は呼吸を変えて、忍刀をもう一刀引き抜いた。
才造は二度目の連続斬りを仕掛ける。
二度目となれば流石に理解しているが、ライチが追える速さ、強さを上回っていた。
やむを得ず、走ってその斬撃を避けるが追って放たれるそれは止まない。
止まれば食らうだろう。
その走った先が不味かった。
引き返そうものなら斬り刻まれるだろうが、このまま突っ込めばやはり無事ではない。
やはりというべきか、空を舞う他あるものか。
地から離れれば才造の斬撃は止んだ。
ただその目はライチを捉えていた。
姿勢を低くし、刀を静かに構える。
そして気を抜いたか別へ視線を向けるので、上空から斬撃を放ったが、それは思わぬことに夜影の大風で消し飛ばされた。
そのうえ、この強風は何度も起こる。
そこを見やれば夜影にはそんな気はないのだということはわかった。
なるほど。ハックへ攻撃を与える過程の中で自然と大風を巻き起こしてしまっているのか。
あぁ、なんと、都合の悪い。
地上では、今か今かと才造が待ち構え、上空からの攻撃はその気のない風に消される。
一か八か、ライチは全速力で才造へ向かって急降下突進をした。
地に落ちた鳥が再び翼を広げることも、立ち上がることも無かった。
才造は静かに鞘に忍刀を戻すと、丁度終えた夜影と目を合わせた。
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