第8話 影の中で
二戦目、三戦目等は別の組が戦い、勝った組が残っていく。
勿論あの忍二人もその中にいる。
さて、今度の相手はどうだろう?
相手となる組は結構強そうな見た目をした男二人だ。
残念ながら俺は知らない。
「相手が悪かったな。俺たちは手加減しないぜ。」
「そっかそっか。それは有難いね。んじゃ、お手並み拝見と行きますか。」
才造の肩にポンと手を置いてそう答えた夜影に才造は頷いて一歩前へでた。
「才造、一人は寸止めでよろしく。」
「趣味悪いな。」
「失礼な。良い趣味してるって言おうよそこは。」
「何処がだ。五秒くれ。」
才造が姿勢を変えたのに気付いて相手も武器を構えた。
開始の合図が鳴ったと同時に才造の姿が見えなくなった。
ヒュンッという音がしたあとに、ゴトッと落ちる音が追いかけてきた。
片方の男の首が床に転がったのだった。
真っ青な顔をしてもう一人が後退る。
「おやおやー?相手が悪かったみたいで?」
才造の肩に乗っかってクスクスと笑う。
「どうします?今度はこちとらとやりますか?」
鋭い爪がまだこびりついた血を見せている。
後退る男をやけに楽しそうに見つめて、首を傾げた。
楽しませて欲しいという目が、男を迷わせる。
見た目は夜影の方が弱そうだが、見た目に騙された時には首がない。
「で、どうするの?殺るか殺られるかだけど。」
舌舐めずりをして才造から静かに降りる。
それはまるで獲物を前にした蛇のようで、今か今かと答えを待っている。
男は覚悟を決めたか、武器を強く握って走り込んだ。
影が男とすれ違った。
夜影の手には真っ赤な心臓がまだ鼓動を刻んでいる。
「返して欲しい?」
男に振り返り心臓を見せつける。
男は胸を抑えながら、フラフラと夜影に向かって歩を進めながら手を伸ばす。
「返せ……。」
そう呟くように落ちた声を聞いて夜影は笑いながら心臓を握り潰した。
忍は影の中で息を吸い、影の中で息絶える
その影に
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