第7話 二息忍び参る

 今日はどうやら街で大会があるというので見に行ってみた。

 戦闘祭というもので、二人一組で参加し、優勝した組には賞金とレアアイテムを与えるというものらしい。

 そこで、洞窟から帰ったばかりだが忍二人に参加してみないかと問うてみた。

「まぁ、賞金狙いで行きますかね。」

 どうやらレアアイテムなんてものには興味無し、という顔だ。

 出来れば勝って欲しいが。

 参加受け付けに行かせて、客席に座る。

 第一戦目から忍二人の登場だ。

 その相手となるのは俺の友人であり敵でもあるカメルとユタだった。

 この二人も中々の腕をしているのだが、やっぱり負ける気がしない。

 開始の合図がなったが夜影ヨカゲ才造サイゾウは突っ立ったまま相手を見つめている。

 というか夜影はあくびまでして完全に舐めている態度だ。

 カメルはそんな夜影に武器持って突っ込んだのだが、才造の手によって阻止された。

 やはり素手だ。

 才造はそのまま剣を離さずに蹴りを入れカメルを後方へ退かせた。

 その剣を夜影に投げて渡す。

 自分は要らないということか?

 夜影は剣を床に刺した…いや、沈めた…?

 夜影の影にズプズプと沈んでいく。

 その時にはユタが夜影の背後に立って双剣を振り下ろそうとしていた。

 夜影は完全にカメルの剣を影に沈めて、ユタに気付いていないように笑っていた。

 ザクリと切った。

 血は出なかった。

 夜影はドロリと溶けて影の中へ消えた。

 代わりにユタの腹を貫いたのは才造でもなく、先程影に沈められたカメルの剣であった。

 膝をついて倒れるユタを影が中から手を出して沈めていく。

 カメルに意識はなかった。

 才造がいつの間にか手刀を入れ、気絶させていたのだ。

 夜影とユタの姿がない。

 客はシン……と黙り込んだ。

 あんな恐ろしい影は見たことがない。

 才造が片膝ついて自分の影に手を突っ込んだ。

 そしてズルズルと引き上げたのは干からびたユタの死体であった。

 夜影は何処からともなくユラリと現れると血のついた口元を拭った。

「大した味、しなかったわ。」

「そうだろうな。」

 ざわざわと騒がしくなる観客の目は夜影を恐れ嫌う視線しか生み出さない。

 忍び参りて生き血を味わう忍もまた

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