第6話 忍無双
試しに忍を連れて洞窟へ入った。
松明が必要な暗さなのに
前方は夜影、後方は才造というように俺を挟んで守るようにしているのは彼らなりの方法だろうか。
まだこの世界で戦闘をしていない為、ここでの経験はまったくだ。
それでも夜影は警戒していないかのように歩く。
「夜影たちはまだモンスターに会ってないよな?」
「へぇ、モンスターってのが出るんですね。」
「知らないのに余裕そうだな。」
「そう見せてるだけかも知れませんよ?」
なるほど、そういうふうに振る舞うこともあるのか。
自然過ぎて疑えない。
いつどんなモンスターが飛び出てくるかわからない暗闇なのにまるで慣れているように音もなく歩く姿は負けを知らないかのようだった。
キシャーッ!!!
モンスターの奇声が聞こえたと同時にズシャッという音がして、モンスターは地に落ちた。
一瞬のことだったので、反応出来なかった。
ポタ、ポタ、とモンスターの血が夜影の手から流れ落ちる。
松明の火に照らされたその笑みは
「ご安心を。死んでもあんた様をお守り致しますから。」
俺の不安と恐怖を読んだかそう言ったが、俺がそう感じたのは夜影のせいだったのでなんとも言えない。
取り敢えず頷いておいた。
ただ、素手でよくモンスターを切れたものだ。
洞窟のモンスターは皆硬いというのに。
太刀を持つ手に力を入れる。
俺の足音だけが洞窟に響く。
夜影も才造も、居ないのではないかというほど足音も何も音を立てない。
バサバサという羽の音が複数聞こえた。
一瞬で終わるのだ。
瞬きなんてする間も与えない。
モンスターも自分の身に何が起こったかきっとわからずのままだっただろう。
夜影は
この段階ではまだ雑魚モンスターしか出てこないが、奥に行けばそれなりのモンスターが出てくるだろう。
ふと振り向いて見れば才造にも血がついている。
どうやら雑魚モンスターには素手で充分らしい。
才造は狼なので余計に恐い。
無表情なのも笑顔なのもまた、違った恐怖を感じさせてくるのだから、次はこう暗いところを選ぶのは避けよう。
味方にある意味殺されそうだ。
無双する忍のお陰か未だ太刀は鞘から出ず。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます