第5話 忍の手も借りたい

「ハイハーイ、こちとら特製海鮮料理だよ!」

 いままで見たことのない料理が机に並ぶ。

「お前、魚もさばけたのか。」

「さばけるのは肉や敵だけじゃないっての。ほら、才造サイゾウも食べな。」

 皆目を輝かせてがっついた。

 肉じゃないのにこんなにがっつく仲間を見たのも初めてだ。

「寿司は何処行っても好かれる和食だからね。」

「料理人にでも転職しろ。」

「敵を料理するって?」

「するな。」

 立ったまま二人で会話しながら食べている。

 猫には料理を、狼には力仕事である倉庫の整理を手伝って貰ったが、驚異的である。

 料理は絶品、倉庫の重い荷物を軽々と持ち運んでくれる等。

 忍は職業だ、というならばこのまま雇った方がいいだろう。

 今は戦力が欲しいところだ。

 この二人に居てほしい。

「なぁ、雇われてくれないか?」

「金さえ払ってくれるのであれば喜んで。」

 即答された。

 二人はまだここに来たばかりだが、問題はないだろう。

 直ぐに戦闘へ陥ったとしても、それなりに戦ってくれそうだ。

「そういえば、名をまだ聞いてなかったな。俺はグカイってんだ。お前らは?」

「こちとらは夜影ヨカゲっていいます。あ、こっちは才造ね。」

「夜影に才造か。わかった、よろしくな。」

「よろしゅう頼んます。」

 差し出した手は握られず笑みとだけで返された。

 それは少し悲しかったが、まぁ、忍だからそれなりの何かがあるのかもしれない。

 そう思うことにした。

 雇ってから少し日が経った。

 別に期限があるわけでもないようなので気にすることなく。

 夜影は何でもするし、よく気が利く。

 言わずとも察して先回りしやってくれるのだから大助かり。

 才造はどうやら夜影以外には無口らしいので喋らないが、力仕事は自ら察してやってくれるし、頼めば鍛錬にも付き合ってくれる。

 鍛錬をしていてやはり才造の方が身体能力がかなり高いとわかる。

 それだけでなく実力も俺達より遥かに上だった。

「夜影、才造って強いんだな。」

「そうですか?こちとらにしたらまぁ確かにそこらの忍よりは優秀ですけど才造はこちとらに勝てませんからねぇ。」

 作業しながらそう答えた。

 つまりは夜影の方が才造より遥かに強いということで、俺たちは夜影にとってはまだまだだって話だ。

 悔しいがそれと同時に頼もしい。

 今は猫も忍も関係なく手を借りたいのだ。

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