Ep.3 狭界と境界

あれから週数間過ぎた。

僕と悠樹は、訓練のため、月に何回かラッポルティ・フィーロに通うことにした。

蒼依がその度にいる訳はなく、彼女の母親や他のスタッフが接客している日もあった。そういった日はフォローして貰いながら注文して、最低限の会話だけする感じだった。

ここのスタッフは基本的にフレンドリーを意識しているのか、常連客とは雑談をしている。僕らも何回か話しかけられたが、悠樹が話して、その間僕はずっと黙っている…といった感じだった。

人見知りではないはずなのだが、なんというか…会話の仕方が分からなくなる。何処までが良くて何処からが駄目なのか。その境が今ひとつ分からないのだ。



―― 放課後。


「悠樹!」


僕は、ラッポルティ・フィーロに一緒に行くため、帰ろうとしている悠樹に声を掛けた。


「…ん?どした?」

「あの、さ……、今日、一緒に行けない…か?」

「あー、ごめん。今日からバイトなんだ、俺。だから、これから一緒に行ける日減ると思う。部活は今まで通り行くから、そこは安心しろよ。」

「そっか……。分かった。呼び止めてごめん。」

「別にいいよ。頼ってくれるのは普通に嬉しいしな。…あ、そーだ!これを機に、一人で行ってみたらどうだ?まぁ、まだひと月経ってねぇし、あれから2、3回くらいしか行ってないから、まだ早いかもだけど。」

「うーん……。せめて学校で人と話せるようになったら、かな…。時々、用事で話した人とそのまま雑談する様にしてるけど、まだ全然だし…。」


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