Ep.2
本当かなぁ。後で後悔しないといいけど…。
そう思いつつ、食事を進める。
あっという間に目の前のものは綺麗に終わり、店員を呼ぼうとした所でちょうど通りかかる。
「お皿、下げますね。デザートをお持ちしますか?」
「は、はい。お願いします…。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
たったこれだけのやり取りにどぎまぎしてしまう。
蒼依は空になった皿を全て下げ、早足で厨房へ戻って行った。
悠樹はその間こっちを見てくれとも言わんばかりに、手を止めてじぃっと彼女の方を見つめていたが、そのままテーブルから離れたのにショックを受けたのか、軽くため息をついた。
「……よし、後で沢山お話ししよう。」
「懲りてないなぁ(笑)」
僕の弄りを無視して、ドリアを必死に食べている。スープの皿は先程下げられていたが、ナンはまだ1枚残ってしまったらしい…時々、ドリアを乗せて食べている。
「米にパンって、大丈夫なのか?」
「モグモグ……なにが?」
「ドリアだと少し重いだろうし、両方炭水化物じゃないか。」
「んー……モグモグ…モグモグッンん。米を、豆感覚で食べられるし、俺は好きだな、この組み合わせ。」
そう言いつつ、手を止めずに食べる。
そして、ナンを計4枚、ペロリと食べた。ドリアの量も、殆ど残っていない。
そして、数分と経たないうちに…
「ご馳走様!……はあぁっ食ったぁ!すっごい久しぶりだけど、昔と変わってないや。」
「………ホントに全部食べやがった…。」
「なぁ、またここで時々食わねぇ?帰りに寄ってさ。」
「……………………本当に、時々、なら。」
まだ、気持ちに折り合いが着いたわけでも、自分を許せる訳もなく、次来るのは一体いつになるだろうか。
「まぁ、お前は幼馴染ちゃんの事もあるもんな…。それに俺、バイト、本気で始める事にしたから。」
「…そっか、頑張れ。でも、僕らの入ってる部活が緩いからって、あんまりそっちのけにするなよ。」
「分かってるよ(笑)お前は?」
「ん?んー、もう少しでまたあれが始まるし、バイトは良いかなぁ。」
「じゃなくて。」
言いたいことは分かる。それに、悠樹はきっと……。
「…まぁ急には無理だよな。俺だって同じ立場だったら、余計なこと言うなって思うし。でも、せめて、蒼依ちゃんとは昔の関係に近い形まで戻って欲しいって思うんだ。凄く勝手だけど。」
「…………………………………………。」
自分の中に、後ろめたい気持ちが拡がり俯く。
彼は、遠回しに、逃げるなと言っている。自分の身近な人とは向き合え、と。そう言っているのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます