Ep.2

僕は、馬鹿だ ――。

目の前にいる人間は、悠樹は、こういう人間だと、つい数時間前に確認したばかりじゃないか。

それなのに、幼馴染に再会して、動揺を隠しきれずそのままフリーズして、挙句 ――。


「……ごめん、忘れていたよ。」

「は?何が?」

「いや、何でも。いきなり意味のわからない事言ってごめん。」

「あ、うん、気にしてねーけど。何だよ、さっきから変だなぁ、ホント。」

「…うん。ありがと。」


なんて、なんて愚かで、どうしようもない阿呆で、そして ――――。

これでは、何度も何度も同じことを、同じ過ちを、繰り返すだけだ。もう、本当はあんな事……。


「それより、早く頼もうぜ。蒼依ちゃんも待っててくれって言ってたし、時間はたっぷりあるけどさ。おれお腹すいちまった(笑)」

「そうだね、僕もお腹空いたよ。」


二人ともさっさと頼むものを決め、店員さんを呼ぶ。

来たのは、母親では無く、幼馴染である相模蒼依(さがみ あおい)だったが、今度は固まることなく、何とか伝えられた。向こうも気を使ってくれたらしく、あくまで店員として接してくれたのもあるだろう。


このお店は、朝方から午後の4時頃まではカフェ、夕方から夜にかけてはカフェ&レストランになる。当然メニュー表も変わり、カフェの時にあったスイーツや珈琲も幾つか無くなっていたりする。

…そう記憶していたが、それは未だ変わってないらしい。僕が来ていた時間はカフェの時が多かったため知らなかったが、意外に人は多く、店内は賑やかだった。


「ご注文お願いしまーす!」

「…本日のおすすめディナーセットで、デザートはミニショコラ、ドリンクはアイスティーで。」

「俺は、鶏肉のチーズドリアのドリンクセットと具たっぷりのトマトスープをナン付きで!ドリンクは…コーラでよろしく!」

「内容の確認をしますね。本日のおすすめディナーセットがお一つ、デザートはミニショコラ、ドリンクはアイスティー。鶏肉のチーズドリア、ドリンクセットと具たっぷりのトマトスープ、ナン付きがそれぞれお一つでセットのドリンクはコーラ。お間違いないでしょうか?」

「合ってるよー」

「それでは少々お待ちください。」

「はーい!」


……悠樹はよっぽど構って欲しかったのか、Goodポーズを取ったり手を挙げて返事をしていた…。

それにしても、と接客態度に思わず関心してしまう。

小さい頃から親を見て育ったせいだろうか。彼女の母親に引けを取らない、立派な看板娘だった。

よく観察してみると、接客は全て彼女1人でこなしていた。両親は奥で料理を担当しているらしい。

幾ら小さいとはいえ、席数も客の数も、記憶の中より増えている。しかも、ほぼ満席。この数の接客を一人でこなすのは中々体力がいるように思える。






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