Ep.2

「凄い…。へぇ、そうなんだ。僕はこのゲームでしか聞いてないからなぁ。そのバンドについて、後で教えて。喫茶店に着いてからで良いから。」

「りょーかい!リズムとか聞いててめっちゃ面白くてさ。親友に語れる日が来るとは…!」

「そんなに話したかったんだ?(笑)」

「知ってる人が周りになかなかいねーんだよ。しかも、興味持つ奴もあまりいないし…。布教したくても出来ないし、苦手って言う人少なくないんだよ。このバンド。」

「へぇ〜。」


確かに、この曲を聞いただけでも何となくわかるのだが、かなり独特だ。それ故に取っ付き難いと思ったり難しいと考える人もいるのだろう。

特徴的な所が多い分、一般的なポップロックより、僕は好感度が持てるけど。


「あ、なぁ、この曲でいいか?次。」


いつの間にか操作していたらしい、悠樹は次のゲームの選曲をしていた。


「いいよー。次も勝つ自信あるし。」

「あ、そんなこと言っていいのか?足下救われても知らねーぞ。」

「この曲は1番最初にマスターまでパーフェクト出したのだから。問題ない。」

「…俺もマスターにしよ。んでもって、次は勝つ…!」


そんな感じで全4ゲーム終了。結果、最後の曲以外は全部俺が勝った。

最後の曲は、俺が1番苦手とする曲で、逆に悠樹の得意とする曲だった。


「まーけたぁ!」

「最後の曲勝ったのに…?」

「総合スコア、明らかに俺の負けだろ!それじゃ意味ないんだよ!」

「ほんと負けず嫌いだなぁ。僕も人のこと言えないけど。」

「悔しいもんは悔しいんだよ!」


……なんか今の悠樹面白いなぁ(笑)


その後、格ゲー、カートゲームなどを適当に遊んだ後、ゲームセンターを出た。


「黎、今なんじ〜?」

「ん?ちょっとまって…えぇっと、17時半頃だよ。」

「ふ〜ん、思ったより長居してたのな。」

「うん…でも、まだあそこは閉店してないと思う。記憶が正しければ。」

「あ、あぁ…。」

「…………?」


時間を聞いた後から、何処か様子がおかしいと思いつつも、特には気にしなかった。


それ以降、お互い口を開くことも無いまま、気づいたら喫茶店に着いていた。

その間、悠樹はずっとスマホで誰かとやり取りをしていたのか、スマホを見て文字を打って…を繰り返していた。


「久しぶりだよなぁ、ここに来るの。」

「そう…だね。」


――ラッポルティ・フィーロ。

少し馴染みのない…正直覚えにくい、この喫茶店の名前。何を表すのか、過去に聞いた事もあったが、その時はまだ小さかったせいか教えてくれなかった。

近くのチェーン店でも洒落た名前の喫茶店はあるが、ここは個人店のせいか趣味か、自由だと思う。

………名前も、内装も。

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