Ep.2
そのため、今日も人多いんだろうな…とか考えながら、自動扉のレールを跨ぐ。
しかし、幸い、と言うべきか、思っていたより人は少ない。
「今日はなにするー?」
「悠樹が好きなのでいいよ。」
「んじゃ、音ゲーやろうぜ。枠空いてるかなぁ…。」
「何やるの?」
「うーん、お前の方が上手いしやり込んでるからなぁ。何やっても負けそうだけど……あ、メイメアは?」
「いいけど、僕の好きな音ゲートップ3だよ?それこそ勝ちたいなら、リズビートやドラムのやつの方がいいんじゃない?」
「そこら辺なら俺負ける気しないけど…。お前よりやり込んでる自信あるし……。でもそれじゃ意味無いだろ!相手が自信あるゲームで勝ってこそだし!」
「そっちが良いなら、これ以上何も言わないけど…。」
そういうものだろうか。自信があるゲームの方が勝ちやすいし、僕なら得意なのを選ぶ。
「一つ言い忘れてたけど、このゲーム、この前エキスパートを全部パーフェクトにしたから。」
「はぁ?!お金入れた後に言うかフツー?!」
「前だったら他のゲームにしてた?」
「う、うーん……かえ…いや、わからん。」
「ならどっちでもいいじゃん。」
「気分の問題だろ!完全に不意打ち狙いじゃねーか!しかも、もろくらったし!」
「ははっ(笑)ごめんって。じゃ、取り敢えずこの曲からね。」
「うわっ、さり気なく選曲して難易度決めるな!って、俺のもう決まってる?!」
「あ、ごめん。手が滑って。」
「まぁ、エキスパートなら何とか…。パーフェクトの自信は無いけど…。」
「その代わり、僕はマスターだから。」
「………笑顔で言うことじゃないし、嬉しくねーよ。…………。」
~♪〜〜♪〜♪︎♪
音楽が直ぐに始まり、お互い画面の方を向く。
音楽のリズムでタイミングを取る僕は、このゲームのボタンを使わずにタップする。
だが、隣は反射神経を頼りにしているらしく、荒々しくボタンを叩いている。
…中心から拡がるようになっているこのゲームでは、かなり難しいはずなのだが。
1曲目が終わり、結果が出る。当然、と言うべきか、一番好きでやり込んでいる曲を選んだためか、それともクラスの違いのせいか…僕の方がスコアは高かった。
しかし、悠樹のスコア。この曲のエキスパートをパーフェクト且つ全てタイミングをジャストにしないと出ないようなスコアである。
実際、詳細を覗き見すると、グレイトの数は10無い。それ以外は全てジャスト、フルコンボしている。
「この曲…やった事は……?」
「……ない、はぁ、はぁ。」
物凄く神経を使ったのか、全力でやっていたのか、あるいは両方か。
兎にも角にも、言葉が出てこなかった。
「き、聞いた事は…ある、か?」
「あ?あぁ、いちおう、…てくら、い…っかな?」
反射神経……凄すぎだろ……。エキスパートの中で、この曲の難易度がいくら中くらいって言ったって…。
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