Ep.1
「絶対馬鹿にしてるよなぁ…。」
悠樹がぶつぶつ文句を言っているのを横で聞きながら、先程の会話を思い出していた。
『珍しいなって』
『凄く謙遜する人』
実際、そんなんじゃない。珍しい、とはよく言われるし、最近はあまり気にしなくなっていた。ただ、そのあとに言われた言葉が、まるで過去を抉り出す刃かのように刺さっていた。酷く自身を、自分の心身をボロボロにしたい気持ちが渦巻き始めていた ――。
「あと一つで今日は終わりだ!…はぁ、帰りてぇー。」
「…前後の台詞合ってないよ。」
「だってさぁ!授業面倒なんだよ!勉強すんのも正直たるいし。」
「この学校、進学校で、地味にレベル高いの、志望校決める時に話したはずだけど。」
「んなこと分かってる。それでも!勉強嫌なんだよ!俺はお前がここに行くって言ったから、死に物狂いで頑張ったんだからな!」
「……。一応、ありがとう。」
本当、良い友人を得たものだ。あの時、彼がしつこく来てくれなければ、今の友情は無かったのだから。
「一応ってなんだぁ?!」
「…台無しだな。」
「何が?…って、そうじゃなくて、さっきから俺の事、ずっと馬鹿にしてるよな?!なぁ!」
「…あはは。さぁな。」
最低限の人間関係を持っている…とは言い難いが、それでも、学校で関わるやつが一人居るだけで充分満足だ。
本来なら、僕の性格では…………。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます