Ep.1

「よっしゃ、んじゃ俺考えるから、お前まとめて発表してくれ!」

「わかった…。」


大丈夫かなぁ。まともな意見ならいいけど…。それに、そろそろこっちのグループ内で発表する時間な気が…。


「思いついた!理由は、『行くのが面倒、家でも学べる内容をお金を払ってまで行く必要性が不明、』はどう……」

「そろそろ時間なので、各自意見を出してください。それでは前の席からお願いします。」


やっぱり。それに、サラッと聞こえた中身も周りとあんまり変わんなさそうな意見だったし。

にしてもどうしようか…。何も考えてないしなぁ。周りの意見を聞きつつ、適当にまとめるしかないか…。


「……………です。」

「ありがとうございます。では次、一番後ろの席の方。どちらか発表の方、お願いします。」

「はい!俺たちが考えたのは…」

「僕達の中で出た意見は次の通りです。まず、学校に行かない理由に関してですが、本来学校に行く理由として挙げられるのは複数あると思います。例としては、社会常識を学ぶためや最低限知っておかなければいけない基礎知識、人間関係を築き協調性を学ぶ、自身が今何処に立っているのか、などです。」


悠樹が言おうとするのを遮り、淡々と意見を述べていく。


「ですが実際、卒業までにそれらの事を全て、一定以上学べる人はどれくらいいるでしょうか。それどころか、些細な事をきっかけに精神に大きな傷を負う人や、ついていけなくなったまま学生時代を終える人もいるはずです。また、金銭面で通うのが難しい家庭も少なくないでしょう。海外の方では殆どの子供が行けない国も存在します。以上の事から、総合的に考えるなら行く必要性はないと考えます。」


全体で議論をする際に言うような内容だ。

そう思ったが、もう遅い。案の定、


――パチパチパチパチパチパチ!


「すいません、お名前を教えて貰ってもいいですか?」

「え、あ、えっと…日比谷黎…です。」

「日比谷くん、こちらの意見としてあなた方の意見を採用させて頂きたいのですが…。皆さんで反対の方はいますか?」


反対派の人全員が(何故か先生も)拍手をしながら首を横に振っていた ――。


「お前に邪魔されて正解だったよ!流石だな!」

「流石、じゃない。僕目立つの嫌いだし、正直今言ったの思い出して、恥ずかしくて無理…。」


素直に寝ていれば良かったなぁ…。悠樹の作戦、なわけないよなぁ。そこまで頭良い筈ないし。


「では、日比谷くん。発表もお願いします。」

「……分かりました。」


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