嫌いな恋愛。

桜牙

第1話

私は納豆みたいにネバネバしたものや汗や油のようにベタベタしたものが嫌いだ。

だから当然恋愛中のベタベタしたカップルも大嫌いである。

決して僻んでるわけではない。羨ましくなんかもない。


ある日の朝学校に到着。

校舎に入り下駄箱の中を見た。中には手紙が入っていた。

放課後、屋上に1人で来て欲しいという内容だ。


終業のベルが鳴る。

少し鼓動が早くなるのを感じながら約束の場所へと駆け上がる。

屋上へ繋がるドアの前、ドキドキを和らげるために目を瞑り深呼吸をする。

意を決してドアを開ける。

外の空気が勢いよく入ってきて視界を遮る。

空気の勢いが収まるとそこにはクラスメイトの男の子が緊張した面持ちでそこに立っていた。

彼が手紙の送り主かな。

それを確かめるために近づき話しかけた。

「あなたがこの手紙を?」

「そうだよ、良かった来てくれたんだ」

「うん、あんな手紙もらったの初めてで気になったし」

「うん」

「来ないと失礼かなと思ったから」

「うん、ありがとう。」

「それでこんなところで2人っきりで何のようなの?」

「実は前から君のことが気になってたんだ」

「うん」

「でも君を見てみると男に興味がなさそうだしなかなか言い出せなかった」

「うん」

「でもちゃんと伝えないとそう思うようになってこうしてここに呼び出したんだ」

「うん」

「君の事が好きです。僕と付き合ってください」と手を差し出されそう言われた。

「よろしくね」と私は彼の手を握り付き合うことにした。


私はネバネバしたものやベタベタしたものが嫌いだ。


横にいる彼を見ながらそんなことを思っていた昔の自分を思い出し少し優しい笑顔になった。

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嫌いな恋愛。 桜牙 @red_baster

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