第6話 『真』現れた過去
「私と君は昨日なにがあったか知っているのか?」
出来ることなら聞きたくなかったがこれ以上先に進めないと困るため問うた。
「うん」
「出来るだけ詳しく教えてほしい」
「それは必要なこと?」
「ああ、限りなく」
私は反射的にそう答えた。
「一緒にお酒を飲んだ」
「それから?」
「たくさん話しをした」
「他には?」
「性交した」
私はそれを聞き最初なにを成功したのか不思議に思ったが今朝互いに裸だったことを思いだし眩暈がした。
無論考えなかったことではなかったがもしかしたら何事もなかったのではないかと希望に託し頭の隅に追いやっていた。
なぜそのような重大なことを記憶のないままやっているんだ。
もし彼女が妊娠してしまったら。
そこまで考え今一番聞かなくてはならないことを聞いた。
「避妊したかどうかわかるか?」
「ゴムはつけてた」
青白いであろう私の顔にほんの少しばかりの血の気が戻るのを感じた。
「他に何かやったことは?」
「一緒に寝た」
「それは知ってる」
「朝食を食べ、紅茶を飲んでる」
「ああ、それも知ってる」
彼女はこれに関してはそれ以上はしゃべらなかった。
そこから考えるにどうやら私は記憶のない間彼女と酒をのみ、会話をして、セックスをしたということだ。
ここまでの大失態を起こすなんてなんてついていない日なのだろうと思えた。
私の右上に掛かっている白と黒のシンプルな時計に目をやると15時23分を指していた。
かなり遅くまで寝てしまっていたらしい。
今日は夜に友人と食事に行く約束をしていた。
ここがどこだか分からない以上早めに出た方が良いと考えた。
「夜に友人と約束があるんだ、もうここを出ようと思う」
私がそう言うなり彼女は私を見極めるようにじっと見つめ納得したような表情を見せると
「ついてきて」
といって部屋を出ていった。
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