第2話

女神が口を開く。

聴衆は耳を傾ける。

俺は音を立てないようにそろりそろりと扉へ向かう。

「…ごめんなさい。貴方とは付き合えない。」

落胆の雰囲気が漂う。

今のうちに逃げようと教室から1歩外へ出た時、驚愕の言葉を発した。


「私、田中くんが好きなの」


ははっ俺なわけないよな。期待して損した。

ほら田中っていっぱい居るし。

……んあ?ちょっと待てちょっと待て。

今、田中って…え?

確かに俺は田中たなか はじめだけど。

あ…うちのクラス俺しか居ないわ。


『ガンッ』


驚きすぎて足を扉に引っ掛けた。

数多の視線を感じて恐る恐る振り返る。


やっばい、やっばい!!

クラスの全員がこっち見てるよぉぉ

そんな好機と蔑視べっしの目で俺を見んなよぉ

と…とにかく、このピンチから脱するぞ!

走れ俺!!

捕まったら事情聴取だぞ!

モルモットみたいになる!!


何だって女神は俺をお望みなんだ!?!

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