第116話~チョコUPの効果
「どうやら魔法陣の方が魔力切れを起こしているのか、魔法陣が消えちゃっているのかもね」
ユージさんが水車を見て言った。
水車の側面に魔法陣が大きく描かれているみたいだけど、下の方は水に浸かっていてよく見えない。
「先に確認をしておくんだったね」
ユージさんが、失敗したとため息交じりに言った。
でも水が迂回していれば、そのせいだと普通は思う。
「大丈夫。魔法陣はそこに書いてあるから複写して書き直そう」
「そうだね。それしかないかも」
ユージさんもそうしようと頷いた。
まずは、地面に巻物に描かれている魔法陣を描く。それを魔法陣の鏡を使って水車の側面に複写。
これで動けばいいんだけど……。
ジッと見つめていると、水車はゆっくりと動き出した。
「やったぁ!」
「これで一安心だね」
そう言えば私、本物の水車って初めて見たかも。ってゲーム内だけど。
「ねえ、ソレイユさん。水って光って見える?」
「うん? 光ってないと思うけど」
「さっきの白いツバメがキラキラ光るって言っていたよね?」
「そう言えばそうかも……」
水車は回っているのに水はキラキラ輝いていない。これだけではダメなのかな?
「あ! もしかして……」
「もしかして何?」
ユージさんが、巻物を見て声を上げた。
「ここ見て。三つの魔法陣の作用により、浄化されると書いてある」
ユージさんが指差した文章を見ると、確かにそう書いてある。つまり他の魔法陣も発動していないって事だよね?
「隣の山か……」
隣の山を見て、ユージさんが呟く。
地図を見れば迷わず川の場所までは行けるけど遠いよね。
◇
遠いと言ってもリアルと違って3時間程で次の山の川を発見。
ここの山は、二段の滝になっていたらしく、滝の間に滝つぼが存在していた。その滝つぼを覗いてびっくり。魔法陣が描かれているんです。たぶん……。
「あれって魔法陣っぽいよね?」
ユージさんもやっぱりそう思ったみたい。私は頷いた。
あれってどうやって描いているんだろう? 何か今まで違う気がする。
「水があるからよく見えないけど線が太いね」
「うん。光って見えるんじゃなくて、線があるように見えるよね。滝つぼって深いのに、あんなに太く描かないといけないの?」
「うーん。どうやらレンガで描いているみたい……」
レンガ? どういう事?
私は、ユージさんが見ている巻物を覗き込んだ。そこには、レンガの敷き詰め方が書かれています。
つまりレンガを作らないといけないようです。
「レンガを作れるか本を見てみる」
「うん。たぶん、魔法陣の線の役割をしているレンガは、魔石で描いたのと同じ効果がある物だと思うんだよね。それを作らないとダメかも」
ユージさんの言葉に頷いて、本で探してみるとありました。
レンガの魔法窯というのを発見。でも発明品で、創造力が85,000必要なんだよね……。
微妙に足りないような気がする。
経験値が124,000強で、長所だから+24,800。ちょっと足りないかも。歩き回って経験値稼ぐしかないかな?
取りあえず、全部創造力に振ってっと。
足りないと思ったけど、イベントで手に入れた『チョコUP』スキルの効果で超えた! チョコUPスキルは、一番高いパラメータに1%プラスするもの。
84,800+848で85,000超えた!
「ソレイユさん。大丈夫? 見つかった?」
「あ……。うん。あったよ。レンガの魔法窯って言うのが。創造力は何とかクリア。LUKは、3,000ごとに1%増えるの。今38,000ぐらいだから、作れるけど成功率が低いんです」
「発明品で、成功率が12%ぐらいか……」
私は、頷く。
MPポーションがあるから失敗しても大丈夫だから頑張ろう。
「やってみる。まずはいつも通り粘土作りから」
「そうだね」
こうして私が魔法陣を描いている間にユージさんは、粘土作り。これは問題なく出来上がり。
レンガの魔法窯の魔法陣も1時間かけて出来上がった。
レンガの魔法窯の形は、かまくらみたいにドーム型。それに煙突がついている。それをそっと魔法陣の上に乗せた。
で、やっぱり私はひっくり返りました。一回で成功するとは思って言はいませんが、レンガの魔法窯を作り直す手間があります。魔法陣も描き直し。
「はぁ……。描きますか」
「さっき見たから、魔法窯は僕が作るよ」
「ありがとう!」
ユージさんは、私の本に書かれている事が読めないから私が作ったんだけど、描いている間に同じように作ってくれるみたい。
ユージさんって、器用で記憶力がいいよね。
お二人様のモフみみ錬金術師 すみ 小桜 @sumitan
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