第114話~橋の代わりは私達の力作です
ロウさんが指差した向こう側に行くために、まず私一人がチックに乗り向こう岸へ行きます。
その後、向こう岸に渡った私がテントを張って、ユージさんがテントへワープ。そうすれば、無事二人共向こうへ渡れます。
ユージさんの提案です。
「ソレイユさん。しっかり掴まってよ」
「うん」
チックはさっきまで、まず乗せずに一人で飛ぶ練習をして、それから私を乗せて飛ぶ練習をしたのですが、疲れちゃうようで飛ぶ距離はあまり長くないのです。
なので、少し休んでからドキドキの飛行です。
「チック、いいわよ」
「うん! 行くよ」
チックがパタパタすると、ふわっと浮きます。後は、飛び越えるだけです。
少しずつチックは頑張って飛びます。
三人が見守る中、チックは飛び越えました!
下りる時は、ストンって感じでしたが、えらいです!
私は、チックに抱き着く。
「ありがとう、チック。凄く助かったよ」
「うん。頑張ったもん」
あぁ、かわいい。
っは。テント張らなくちゃ。
テントを張ると、ユージさんはワープして、無事二人共渡り切りました。
「ねえ、ソレイユさん。テントを置いておくっていうのも手だけど、橋をつくっちゃわない?」
「そうだね!」
そうすれば、テントを持って歩けます。
私は、本で橋が作れないか確認をしますが、橋を作るのには橋を架ける両方の場所に魔法陣を描かなければいけません!
「これ、物理的に無理かもです。向こう側にも魔法陣を描かなくちゃいけないみたい」
「そっか。じゃ、橋は無理だね。何か代わりになる物を置くとかしかないかな? 例えば、丸太の橋とか? ……無理か」
ユージさんは、自分で提案するも周りを見て、無理だと断念したようです。
こっち側には、木がまばらなのです。
それに、大きな木が必要で、それをここに持って来て置くのも無理っぽい。
私は、橋の代わりになる物を本で探しました。
あ、これ行けるかも!
「ねえ、ユージさん。何に使うかわからないけど、煙突があるよ!」
「煙突? それを横にして使うって事?」
私は、うんうん頷く。
「粘土で作った物は凄く軽いから運べないかな?」
「あ、そっか! じゃ四角い煙突でお願いね!」
ユージさんが、なるほどと頷いて言いました。
そうと決まれば、煙突作りを開始です。
いつも通り、私が魔法陣を描きその間にユージさんが粘土作り。今回は大量に必要です。魔法陣も大きめに描きます。
煙突は、粘土を魔法陣に乗せるだけでいいようです。
魔法陣の大きさで太さが決まり、粘土の量で長さが決まるようです。
なので、魔法陣の鏡を使って描いた魔法陣を複写して大きくします。
今回は、魔石でなぞって完成した魔法陣を複写です。複写する場所にあらかじめ粘土セットしておきます。
「よし、これでOKっと」
ユージさんが魔法陣の鏡で、粘土を円で囲ってくれました。
私も描き終わり、いよいよ複写です。
複写は成功し、魔法陣に光が登りました。
「うわぁ。凄いね……」
ユージさんが、デーンと出来上がった煙突を見て言った。
白い煙突。いや、煙突だと言われなければわからないです。
太さはユージさんの背丈を優に超え、長さは橋として十分あります。
さて、一つ困った事があります。
どうやって倒すかです。軽いけど私達が下で押して倒れるかどうか。
煙突を作った場所は、崖のぎりぎりです。うまく向こう側に倒れれば、大成功なのですが……。
「うーん。チック。出番だよ。てっぺんを向こう側に押してもらっていい?」
「うん!」
私を乗せていなければ、普通に飛べるようになったチックは、煙突のてっぺんを足でちょんとしました。
それでは無理じゃないかと思ったのですが、さすが粘土で作っただけあって
軽かったみたいで、ぐらっとしたと思ったら倒れちゃいました!
軽いけど頑丈なはずだから壊れてないと思うけど……。
「あれ? 煙突なのに穴がないの?」
「うん。実は、穴あきなのは発明品らしく、私にはまだ作れない物だったの。でも大丈夫。私には、奥の手があるから」
私は、軍手をはめて見せた。
「あぁ、なるほど! 掘るんだね!」
私は、そうですと頷いた。
そして、真っ直ぐ掘る様に気を付けながら、煙突に穴を空けて行きます。
そうこれは、煙突と言う名のトンネルですよね!
数回往復して、ユージさんでも立てる広さを確保。
完成すると、ユージさんも森へ渡ってきました。
「いやぁ、僕が立って歩けるって凄いよ。チックもお手伝いありがとう」
「うん!」
私達の力作のトンネルの出来上がりです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます