第9話~錬金術師になる為には?

 私は、ルンルンで帰るとおじいちゃんを訪ねた。


 「おじいちゃん! 採取取得したよ!」


 おじいちゃんはちょっと驚いた顔をしてから嬉しそうに頷いた。


 「思ったより早かったな。では次は、観察力だな」

 「え……」


 教えてくれるんじゃないの? 観察力……条件覚えてないよ!

 たしかこの本に……。


 私は、『採取者とは』を手に取り読んだ。

 条件は、視力100、採取種類50。または、視力100、採取種類1、LUK200。


 視力100は絶対必要みたいね。

 経験値を確認すると、1100以上ある。なので視力に95振って100にしておく事にした。

 あっという間に経験値は950も消費される。


 1000あっても、すぐ無くなるね。錬金術師の道は遠そう。

 さて、採取種類50種類とLUK200は、どっちが楽……いや、早そうかな?

 花も採取に入るのなら片っ端から拾うとかでもよさげだけど、カウントされているか確認出来ないみたいだからLUKの方が確実かな?

 LUKは、確か長所だから半分で200に出来る。経験値1000あれば200に出来る事になる!

 うん。こっちの方が早そうで確実ね!


 1000の経験値を稼ぐ事にする。

 そうと決まれば、行動あるのみ。


 「私頑張るね!」


 おじいちゃんにそう言うと、力強く頷いてニッコリと微笑んだ。

 私は、おじいちゃんの部屋を出て、家から出ようとするとお父さんに捕まった。


 「どこに行くのだ?」

 「えっと……。採取に……」

 「あそこにはまだ一人で行ってはならん!」


 え~~!!

 おかしいでしょう! 自由に出来るんじゃないの?


 「じゃ、ユージさんのところ!」

 「ふむ。それならいいが、暮れの刻には戻ってくるんだぞ。いいな」

 「はーい」


 あの村に行くのはいいのね。

 まあ、歩くだけでも経験値入るし。色々聞きに行こうっと。


 私は走ってライオンの村に向かった。時間短縮になるのと経験値の入り具合を見る為。採取に行く時に経験値の入り方をみていたら十分歩いて120ぐらいだった。

 今回走って村に十五分でついた。増えた経験値は約360。そうすると十分走ると240。歩きの倍の経験値が貰える事になる。


 歩くと村までニ十分かかるから歩くより多く貰えて時間の短縮できる! 一人で来るときは走ってこよう!


 ユージさんは、畑をせっせと耕していた。


 「ユージさん!」

 「あ、ソレイユさん。思ったより早く来たね。あれ? 一人?」


 作業をやめ、私に話しながら駆けつける。


 「うん。ここには一人で来ていいみたい。仕事大丈夫?」

 「大丈夫。種さえ蒔けば勝手に育つんだ。ちょっと手を加えると実りが良くなったりするだけ」


 へ~っと、私は相槌を打った。


 「あのね。ちょっと色々お話ししたいなって思って……」

 「いいよ。そこで話そうか」


 昨日座って話した場所を指差す。私が頷くと、二人でそこに移動した。


 「実はね。経験値を稼ぎたいんだけど、一人で採取しに行けないの。ここには一人で行っていいって言うのに……。それで、何か手っ取り早く経験値を稼ぐ方法はないかなって」

 「そうだなぁ。やった事をない事をすると経験値が最低10入るみたい。例えば、僕のクワを持つとか。畑仕事をするとか。ただ、最初に振ったステータスによって向き不向きが設定されているみたいで、不向きな行動をするとガッツリとスタミナが減るから気を付けてね」

 「スタミナ……あまり気にしてなかったわ」


 そう言えば、そういう設定もあったわね。減ると動けなくなるんだっけ?


 「スタミナってどうやって回復するの? 寝たり座ったりだっけ?」

 「うん。そうそう。何もしないでが条件だけどね。こうやって話ながらくらいならOKで、スタミナが回復していくんだ。確か……座ってでは十分で1%、寝るは三分で1%回復だったかな。だから夜寝ればスタミナは全回復するはずだよ」


 なるほど。今は昼間消費したスタミナは、夜回復するしかないようね……。


 「まあ、薬とか魔法とかあれば別だけどね」

 「ユージさんは、夜寝ているの?」

 「うん。寝ているよ。僕はその間、ログアウトしているけどね。この世界では六時間だけど、現実では一時間だし。小休憩。だから、夜訪ねて来てもいないからね」


 なるほど! そういう手もあったのね!

 次からは私もそうしましょう!


 「私は夜、出歩く事出来ないから尋ねる事はないかな……。って、めちゃ不便なんですけど……」

 「そうなんだ。う~ん。随分特殊な環境になっちゃってるね。なんで子供の設定になったのかな? STRを10未満に振るとケモミミ族になるんだけど、その他の振り分けは何の動物になるかのはずなんだけど……。あらいぐまになったらそうなるのかな?」

 「なのかな? これじゃ、いつ錬金術師になれるかわからないよ……」

 「え? 錬金術師になりたいの? それちょっと無理かも……」

 「なんで?」


 私が驚いて聞くと、ユージさんは困り顔で話し出す。


 「錬金術師になるのにはまず、錬金術師を探し出して弟子にしてもらわないといけない設定になっていて、しかも錬金術師は一人しか弟子をとらない。つまり弟子をとった事のない錬金術師を探し出さなくては行けなくて……」


 そうだったの?!

 おじいちゃんってどっち?

 帰ったら聞かないといけない。もし弟子をとった事があったら違う人探さなきゃいけないのね……。


 「今のところプレイヤーが錬金術師のカードを取得したって話は聞いてないね」

 「カード?」

 「あ、そっか。知らないのか。えっとね。職業ってこの世界では名乗るものなんだ。それで、スキルの条件など整っていれば、国が職業カードを発行してくれるんだ。まあ、名刺みたいなもんだね。仕事……クエストなどをする時に必要かな? 勿論複数持つことも可能だよ」


 そうだったのか!

 まあ、名乗って仕事をするつもりはなかったけど……。


 「でももし万が一、錬金術師になれたとしてもカードを取得しないようがいいかもね。追いかけまわされるよ。きっと」

 「え!」

 「発行すれば、調べる事が出来るからね。種族と名前がわかっちゃうから……。まあ、その前に錬金術師を探し出して、弟子にしてもらわないといけないから、なるのも難しいけどね」


 そっか。見つけ出しても弟子にしてもらえないかもしれないのね。これって、おじいちゃんが弟子をとった事があったら諦めなきゃいけないかも。


 「はぁ……」


 私は大きなため息を漏らした。

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