第8話~新たなスキル
私はおじいちゃんのベットにちょこんと座る。おじいちゃんがベットをポンポンと叩いたからそこに座れていう事。
座るとおじいちゃんは、私の頭を撫でた。
「お前がそれを読んで理解し、納得しなければ教える事は出来ない。いいな」
私は頷いた。
10歳だけど、中身は大人ですから! ……理解は出来るはず。
私は本を開いた。
――錬金術。それは、魔法であって魔法であらず。MPを持たない人にも使用できる
これを作れるのは錬金術師のみ。
師匠から弟子へ受け継がれ、そして自身でも新たに作り出す。
世界の平和の為に活用し、決して悪事の為に作り出してはならない――
魔具……。マジックアイテム? それを作るのが錬金術師なの? ちょっとイメージ違ったけど、まあ楽しそうだよね。
平和の為か……。まあ、悪事はするつもりないから大丈夫でしょう。
◇
次の日、私はお父さんと今日も白薬石を取りに来ていた。
今日は下を見ないで一気に上まで登り、そして今日はなんと素手で石を粉々にしている!
粉にするのには、握力が20あれば十分だったみたい。
多分この作業は、簡単な部類に入ると思う。
そういえば、昨日使った布っておじいちゃんが作ったって言っていたよね? じゃあれって魔具!
そう思うと魔具って凄い。能力を上げたと同じ事だもんね。
あの時魔具で、握力を15も上げた事になる。普通に上げると経験値150分。私の場合は300だけど。
それをあの布一つでカバーしって事ね。
私も作ってみたい!
見た目役に立たなさそうだけど、使うと凄いヤツ!
夢が膨らみ私は、ウキウキとしながら石を粉々にしていた。
お父さんも私が嬉しそうに作業しているのがわかったのか声を掛けて来た。
「違うのも採取してみるか?」
「……え? やる!」
私が喜んで返事をすると、森へ向かい出す。
私達は、崖を登ってすぐの所で作業をしていた。ここの奥は森だった。その森の中へ入って行く。木は密林のように生い茂り薄暗い。
五分ほど歩いて大きな木の前にきた。
お父さんは、木の出っ張っている所を折った。でも枝ではないみたい。
「何それ?」
「これは樹液さ。固まっていたのを取った。これを粉にすると、薬の材料になる」
樹液ですか……。
お父さんはそれを私に渡すと、新しい布袋を取り出す。
「これに粉にして入れてほしい」
「はーい」
私はギュッと袋の上で、樹液を握った。
「イタ……」
めちゃ硬い! これ砕くの無理!
私は布を取り出した。
これで砕けるといいなぁ……。
樹液を布に包みギュッと握った。砕ける感触。
開いてみると粉々になっていた!
やったぁ! 出来た!
と、お父さんを見ると目を丸くしている。
この布を使っても砕けないと思っていたようです……。
これ粉々にするのって、握力どれくらい必要なのかな?
そもそもこの布ってどれくらい能力を上げられるものなのか。この驚きようなら、そこまで上がらなさそうだけど。
私が布を使い樹液を粉々に出来るので、それは私が粉々にしていった。
20個ほど粉々にすると袋がいっぱいになる。
「よし。ここに来たついでだ! きのこも採って帰ろう!」
「きのこ!」
普通だわ!
何故かそう思ってしまう。
リアルでは、石を粉々にして持ち帰るなんて事はありませんから……。
だけど、食用ではなかったみたい。
樹液と一緒で、薬用らしい。
ちょっと行った奥に群生していた。そこだけオレンジ色。何とも言えない風景。
食事として出されたら食べられそうにもないけど、薬として形が違っていれば……。
本当に大丈夫かな。毒きのこなんじゃ……。
不安もあるけど、お父さんと一緒にきのこを採取した。
大きい袋に採っては入れていく。私は30個ほど。お父さんはその倍。
オレンジ色だった所がだいぶ減った。
ふと横を見るとピンクの綺麗な花が咲いていた。
花びらが五つで、茎が短い。
綺麗だから家に飾りたいな。この世界にそういう習慣があるかわからないけど。
「ねえ、お父さん。お花摘んでいい?」
私が指さして言うと、お父さんは頷いた。
「ごめんね。お花さん」
そこに咲いていた五本を摘んだ。
よく見ると、白いのも咲いていた。
「これも……」
プチ。
《採取を取得しました》
うん? 今声が聞こえなかった?
私は辺りを見渡すが、お父さんしか見当たらない。
採取……って、聞こえた。まさか!
私はステータスを確認すると、スキルの欄に採取と記入してあった!
お花も採取にはいるのね。
私は、めでたく念願の採取を取得できました――。
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