第7話~早く大人になりたい
私達は、ちょうど雨がやんだ頃家に着いた。勿論二人共びしょ濡れ。
お父さんは、交換した食べ物をお母さんに渡して、私を家の中にある何故か岩だらけの場所に連れて行った。
何をするかと思えばいきなり服を脱がされた!
「きゃー! ちょっと何!?」
「何って、湯を浴びるんだろうが。ちゃんと浴びないと風邪を引くぞ」
そう言うと桶で湯を頭からかけられた!
体が冷えているせいか、熱く感じる。
「あちぃ! 自分でやるから!」
「何を言っている。持ち上がる訳ないだろう! ほれおとなしくしなさい!」
結局ジャバジャバと頭からかけられた。これがここの湯の浴び方らしい。
あ、ちなみにパンツ一丁です……。
早く大人になりたい……。
その後、ごしごしと拭かれ、自分で着替えると言って着替えは何とか一人でさせてもらった。
この世界には、パジャマに着替えて寝るという習慣がないらしく、普通に服に着替えた。
そして、ご飯だけど……。あらいぐまって何を食べるかしらないけど、普通にお肉が出て来た。葉っぱの皿の上に焼いたお肉。
これ、何のお肉ですか?
ちょっと怖いけど一口パクリ。
美味しい!!
ちゃんと味がする! 不思議。
ちなみにどんぐりや野草だと思われる野菜の付け合わせもある。
食べてみると、苦い……。
お父さんが凄い目で見てます。勿論、好き嫌いはダメっという目です。
あぁ……早く大人になりたい。
ご飯を食べ終わった頃暗くなり、私達はお布団の中へ。
えぇ、川の字でおねんねです……。
寝なくちゃダメですか? 六時間もこのまま?
二人が寝静まった頃にそっと私は布団を抜け出した。
って二人共、五分でぐっすり。
不思議な事に明かりがなく真っ暗だけど薄っすらと見える。ケモミミ族は夜目が利くようです。
さて、六時間何もしないで過ごすのもあれなので、私はおじいちゃんの部屋に忍び込み本を読む事にした。
ドアには鍵が掛かっていなかったので、入る事に成功。
おじいちゃんもベットに寝ている様子。
しめしめ。
って、夜はこの部屋で寝る様にしたらいいかもしれない。お父さんがいいって言えばだけど……。
私は本棚に近づいた。
だが暗すぎて文字が見えない。読めない以前の問題だった。
視力を上げれば暗闇でも見える様になるのかな?
「ソレイユ……」
突然明るくなって声を掛けられ、危なく悲鳴を上げるところだった!
びっくりした。
ベットの所にあった照明に灯りが灯っている。どういう仕組みなんだろうか?
「本を読みに来たのか?」
私は素直に頷いた。
それを見たおじいちゃんは何故か嬉しそうにほほ笑んだ。
「ねえ、おじいちゃんって錬金術師なんだよね?」
「そうだよ。興味があるのか?」
私は大きく頷いた!
私は好きな物を好きなだけ作ってまったりしたい!
「すごくある! おじいちゃん、私に錬金術教えて!」
「そうだな。ではまず、採取を取得しなさい。それからだ」
採取って確か、握力が20で採取回数が100回だったよね? この回数ってどうカウントして100回? 通う回数? だったら100日必要なんですけど……。
取りあえず、取得するまではここの本を読んでおこう!
「わかったわ。そうする。ここの本は読んでもいいんだよね?」
「かまわない。読めるならね」
にっこりと微笑み、おじいちゃんは意味ありげに言った。
もしかして、読解力を上げただけでは読めないの? 例えば魔法が必要だとか……。だとしたらお手上げです。
「もしかして、魔法とかが必要なの?」
「いや。必要なのは魔法ではない。ここにある本は錬金術に関する物だ。錬金術師になりたい者が必要とする能力がなければ読めない」
ふむ。魔法使いなら魔法を使う為に必要なのはINT。錬金術師に必要なのは何かな? LUK? あ、創造力かな? 物づくり関係のあるからこれだね!
「創造力?」
おじいちゃんが静かに頷いた。
「最低100は必要だ」
「100!」
私は声が裏返った!
そういえば、創造力は長所にしたはず。半分の経験値でいいはずだから500でいいんだ!
あ、そう言えば、採取に必要な握力は短所だからあと15振るのには、300必要なのか……。
経験値を見ると1000を超えていた!
足りるじゃん! よし、もう振ってしまいましょう!
私は経験値を800使って握力を20に、創造力は100振って112にした。
すると本棚の本が一つ読める様になった。
それを手に取る。『錬金術師の心得』そういうタイトルだった。
「ソレイユ……」
「え? 何?」
本を手に取るとおじいちゃんが声を掛けて来た。何故か真剣な顔つき。
「本は好きに読んでいい。だが、ここから持ち出すのは禁ずる。そして、読んだ内容は誰にも話してはならない。勿論、バシリー達にもだ」
ここにある本はそれだけ機密なものなのね。
私も真剣に頷いた。見た目まだ10歳だけどね……。
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