死んだら楽になれるかな。
ふかっち
死んだら楽になれるかな。
毎日毎日同じ事の繰り返し。今日もいじめられ、虐げられ、笑われ、貶された。
窓から外を覗くと、屋上が見えた。屋上には誰もいない。あそこから下へ落ちたらどうなるのかな。
何かを求めるように立ち上がった僕のすがたを、同級生の女の子が見ていたように感じたのはきのせいだったのだろう。
***
また、あいつをいじめてしまった。
一昨日もいじめた。昨日もいじめた。今日もいじめた。だから、明日もいじめることになるだろう。
窓から外をのぞくと、駅がみえた。電車が走っている。そうか、あそこに行けば、線路から落ちれば、俺はあいつをいじめるだけの日々に終止符をうてるのか。
のっそりと立ち上がった俺を、同級生の女子がみていたようにかんじたのは、多分、俺の思い込みだったのだろう。
***
家に帰って母に、「学校はどうだった?」と訊かれた。どうもこうもないよ。昨日までと同じように、友達に、いじめられ、虐げられ、笑われ、貶されてきた。でも、母に、心配はかけられない。「……うん、楽しかったよ!」と、満面の作り笑いで応えた。
母は、ボクの言葉の僅かな間に気づいてはいないようだった。
***
隣に座るその男の子は、今日もいつものようにいじめられて、虐げられて、笑われて、貶されて、1日を終えた。彼が帰り際に見せたあの、冷たく、暗い顔は何だったのだろう。
***
毎日毎日同じ事の繰り返し。今日もいじめられ、虐げられ、笑われ、貶された。
窓から外を覗くと、昨日と同じように屋上が見えた。そうか、あそこなら…………、あそこなら…………。
***
「大丈夫......かな。」
鬼気迫った顔で隣の彼は、教室をでていくと、屋上の方へフラフラと漂っていった。
ドアを開けて、屋上へとでると、彼は、フェンスを超えて、今にも屋上から落ちようとしていた。
人生という舞台から、墜ちようとしていた。
「……柏木くん?……おちちゃうよ?ほら、早く戻ってよ…。」
やっとの事で彼の名を呼ぶと、彼は。
「来ないでくれ!!」
と叫んだ。
「僕が何か悪いことをしたか?人に恨まれるような事を したのか?僕は何もしていない。何も悪いことはして いないんだ!そうだろう?
あいつらは、毎日毎日僕をいじめた。笑った。けなし た。そして、お前らも自分には関係ないと────」
僕 を 見 捨 て た 。
そうである。私だって同罪なのだ。なにも、いじめてないから悪くないわけではない。けなしてないから悪くないわけではない。そこに自分は確かにいたのに、
『 い な い ふ り を し て み す て た 』
ことだって、いじめたことと同じなのだ。
だったら、私は非道いやつ。私は、これ以上息をしていたくなかった。だから、
「わかった。だったら、私も一緒に飛び降りる。も う、全部、終わりにしよう?」
屋上の端っこまで歩いた私は、彼と手をつないで、大きな最期のことばを出すために、大きく息を吸って、一緒に、
「せいの!」
で、
***
慌ただしい駅のホームで、俺は、切符を買うと、手紙を入れたバックを持って、改札をくぐった。
あと十分で、電車はくる。椅子に腰掛けて、待つことにした。
この町でも、いろんな事があったな。あそこに見えるデパートで、玩具を買ってもらえなくてないたり、こっちの公園で、友達と遊んだり、……あいつをいじめたり……。
何故だろう、無性に涙が出てきた。抑えても抑えきれない。はらはら、はらはらと。
さあ、電車がきた。もう、こことは、自分とはお別れだ。さよならだ。
ホームの黄色いブロックを越えて、動き出した列車がこれから進むであろう場所に、
「せいの!」
で、
***
僕は、飛び降りる。
この世界の自分と、別れを遂げる。
***
彼らは、それから、どうなったのかわからない。
知る方法もない。
ただ一つ分かったことは、各誌、メディア等にあれほど彼らのことが沢山伝えられても、みんな、時が経つとわすれられているということだ。
悲劇は繰り返す。
結局は何もかわらない。
そう、かわらないのだ。
ただし、一つだけ止める方法がある。
「いじめ」をやめると言うことだ。
いじめさえなくなれば、自殺だって少なくなるだろう。
自殺がおきてからではもう遅い。
君は、どうおもう?
死んだら楽になれるかな。 ふかっち @fukatchi
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