中編 不思議な力を持つけもの(?)

「はぁ…疲れました…」

「やっぱり山登りは疲れるね。」


 とそんなことを話しているととあるフレンズがこちらに気付いて近づいて来た。


「ん?なんじゃお前ら?」

「私はタイリクオオカミ。そして…」

「ア、アードウルフです…」

「どうしてここに来たのじゃ?」

「スザクの姿を私の漫画のキャラの参考にさせて欲しくて、モデルをして欲しいんだけど。」

「まさか、それって、」

「あぁ、『ホラー探偵ギロギロ』だよ。」

「やはりか!いかんせん瞑想する以外にやることがなくての。たまに暇つぶしに読んでるのじゃ!」

「まさかスザクまでもが私の漫画の読者だったとはね。私も描きがいがあるよ。」


 そういうとスザクは何に気づいたのか火口の方に向いた。


「な、良いではないか!我がこうしてフレンズでいれるうちにできることをしても!あー、さては妬いてるのじゃな?」

「あ…あの…誰と話して…?」

「あぁ、こやつらか。その前にまず我を説明してからじゃの。我はスザクと言って『ししん』のうちの一柱、南を守るのじゃ。『ししん』っていうのはじゃな?『四』柱の『神』と書くのじゃ。その名の通り、我の他にも三柱いてな。」

「ほうほう…」


 タイリクオオカミはメモを取り始めた。ついでにスケッチも始めた。


「北のゲンブ、西のビャッコ、東のセイリュウ。今話してたのはセイリュウじゃな。」

「あの…その方達は…どこに…?」

「あぁ、実際には板として置かれてるのじゃが、たまに何か言われてる気がするのじゃ。それでたまに我の返答に反応することがあってじゃな?こんな板になっても話せると気づいたのじゃ。」


 と言って自分の板を持ってきた。


「ほう、それもスケッチさせてもらっていいかな?」

「あとで見せてくれるならいいのじゃ!」

「では。」

「あ…あのっ!」

「ん?どうしたのじゃ?」

「私…この山に来たのが初めてで…こんな綺麗なところあったんですね…」

「そうじゃの。また何か不安があったら来るといいのじゃ。我が相談に乗ってやるのじゃ。」

「あ、ありがとうございます…」


 オオカミの方もやっと終わったようだ。


「こんな感じでどうかな?」

「こ、これがギロギロ風に書かれた我か!?こんな綺麗に我を!?」

「満足してくれて光栄だね。さて、じゃあ漫画を描くためにロッジに戻ろうか。」

「はい…!」

「あ、ちょっと待つのじゃ。」

「どうした?」

「我も付いてっていいかの?漫画が出来上がるところを一目見てみたいのじゃ。」

「でも出来上がるまで結構かかるよ?」

「どうしようかの。化身じゃ直ぐ戻らないとなのじゃ…」

「あ…あの!」

「どうしたのじゃ?」

「その板に力を移せばいいんじゃないでしょうか…?もともとその板にあったわけですし…そんなに話は簡単じゃないのでしょうか…?」

「その案よさそうじゃな。よし、やってみるかの。」


 スザクは手の平を板に向けて念じ始めた。すると…キラキラしたものが手のひらから板へ降り注ぐ。


「やってみる価値あったのう!完成じゃ!」

「よし、じゃあロッジに戻って漫画の続きを書こうか。」

「そうじゃな。いくぞ!」

「おー…!」

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