前編 「ウルフ」の名を持つけもの

「さぁ、さばんなちほーについたが。」

「あ!オオカミだ!おーい!」

「サーバルか、どうした?」


 サーバルは興奮した表情で飛びついて来た。


「私たちの家族の『にがおえ』を描いて欲しいの!」

「わかった、わかったから一回退いてくれないかな?ついでにサンとシンザキさんも連れて来てくれるかな?あとギロギロ風になっちゃってもいいかい?」

「あ、わかった!いいよ!じゃあ連れてくるね!」


〜数分後〜


「連れて来たよ!」

「似顔絵なんて久しぶりぃ…ですかねぇ…?」

「オッケー。じゃあ三人とも並んで。」

「ほら、サンもサーバルさんのよこに、スッと並ぶことができますかねぇ?」

「スッと並ぶことができますねぇ!」

「よし、じゃあ描くよ。少し時間かかるけど許してね。」


〜十数分後〜


「完成したよ。はい。」

「ありがとう!」

「では、用事があるからこれで」

「お忙しいところすみませんねぇ…」

「オオカミぇ!ありがとう!」

「じゃーねー!」

「あ、そうだ。その前に、カバがいる池を教えてくれないかな?」

「水だったらうちで飲んで行きますかねぇ?」

「あ、水は一応頂こうか。あと、その池に行く理由は他にもあって…」

「とりあえず水持ってくるね!すぐ戻ってくるから!」

「ここで待ってるよ。」


 数分後サーバルは息を切らしてやって来た。


「急がなくてよかったのに。」

「へーきへーき!このくらい楽勝だよ!」

「ありがとう。ところで、カバの池ってどっちかい?」

「ああ、あっちの方ぅ…ですかねぇ…」

「ありがとう。じゃ、またね。」

「またねー!」


〜歩くこと十数分〜


「ここか。」

「だ〜れ〜?あ、オオカミでしたのね。」

「そうだ。ここはフレンズがよく集まるって聞いたんだけどな。」


 そうするとビクビクしたフレンズが近寄って来た。


「だ…誰か知らない人がいる…誰…?」

「あ、あなたが『アードウルフ』さんかい?」

「な、なぜ私の名前を…?」

「『ウルフ』と名がつくフレンズがいると前から聞いててよかったらモデルになってもらおうと思って。私はタイリクオオカミ。好きなふうに呼べばいいよ。」

「わ…私がモデルなんかに!?無理ですよ!」

「ちょっと立ってるだけでいいから。お願い!」

「そこまで言われたら…恥ずかしいですけど…こんな感じでどうでしょうか…?」


 アードウルフは少しポーズをとってみた。


「いいんじゃないかな?その感じで少し止まっててね。」

「そんなにかかりませんかね?」

「すぐ終わるよ。」

「そ…そろそろきついのですが…」

「ほら、終わったよ!みてみる?」

「いやいや…恥ずかしいので…」

「わかった。よし、これで一つ目の用事は終わりだな、あとは…っと」

「あ、あの!どこか行かれるんですか?あと、その絵はどこかに使われるのですか?」

「『ホラー探偵ギロギロ』っていう漫画のキャラの参考にさせてもらうよ。あとは、そうだな…山に行きたいな…」

「山に行くなら博士の許可が必要ですわ〜。」

「きゃっ…ってカバさんでしたか…びっくりした…」

「まぁ、博士たちには内緒、よく言う『おしのび』で行こうか。」

「何もいじんないでおくのよ!」

「それは心得ているよ。」


 というとオオカミは不敵な笑みを浮かべた


「オオカミさん…その笑い方怖いです…あ、あと!」

「どうしたんだい?」

「私もついていっていいですか?その『漫画』をみてみたいですし!」

「うーん、ま、いっか!じゃあ一緒に探検と行こうか。」

「少し怖いですが…ワクワクが止まりません…!」

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