2018.8.14怪しいから身元調査をやってみた:諸葛宣于
中村昂然さん「正史と引き比べちゃらめー」
河東「いいじゃねえか、ぐへへへへ」
※
というわけで。
追いすがる中村昂然さんを振り切り、
『三國志後傳』と正史を比べる暴挙も
三回目になりました。
今回はモロに創作臭をぷんぷんに放つ諸葛亮の孫、諸葛宣于です。
諸葛宣于、字は脩之。当然、「諸葛宣于」では検索HITしません。
「脩之」で『晋書』を検索すると面妖な記事が2つHITしました。
▼
『晋書』劉元海載記
[五] 宣于脩之 『
宣于脩之は又た元海に言いて曰わく「歲は辛未にあらば、當に洛陽を得べし。今、晉氣は猶お盛んにして大軍は歸らず、必敗なり」と。
元海は馳せて
『晋書』孝懐帝紀 永嘉二年(三〇八)條
冬十月甲戌、劉元海は帝號を平陽に
『晋書』孝懐帝紀 永嘉三年(三〇九)條
冬十一月、
※
ちなみに、劉元海載記とありますが、
すなわち、劉淵の載記のことですよ。
劉淵、字は元海です。
※
内容をざっと見るに、
前者は劉淵に蒲子から平陽への遷都を提案した記事、
後者は永嘉三年の記事、
同年は
次の辛未は二年後、永嘉五年になります。
で。
やっぱり永嘉五年に洛陽は抜かれますね。
一見してお分かりのとおり、
宣于脩之は
要するに天文方です。
星を観て将来を予測するのがお仕事、
つまり、占い師です。
※
『続三国志』の「第二十二回 劉和と楊興寶は柳林川に到る」
蜀漢の遺臣を探す廖全が聞いた諸葛宣于の噂話はこんな感じ。
身長八尺(約2.5m)で歳は二十ばかり、面は白粉をつけたように白くて冠玉のように清潔、鼻梁が通って眼は紫色、甚だ聡明で売卜を生業としている人がある。郡人でその霊験に服さぬ者はなく、日ごとに数千の銭を稼いでいると聞く。
おお、占い師ですね。
しかし、作中で平陽への遷都を建議したのは諸葛宣于じゃない。
「第六十九回 漢主劉淵は平陽に都を建つ」にはこうあります。
酒宴の最中に漢主が陳元達に問う。
「薦める者があり、孤は晋陽を落としてそこを都としようと思う。長宏は平陽と晋陽のいずれを都とすべきと考えるか」
「晋陽は晋国に応じる陽運があり、平陽は晋を平定する陽運があります。陛下は晋を平定する陽にあたられます。晋陽を都としてはなりません。平陽を都となさるのがよろしいでしょう」
この一言によって漢主は平陽を都とすることに意を決したことであった。
陳元達やないかい。
でも、『晋書』陳元達傳にはそういう記述はないです。
※
諸葛宣于は『晋書』にチョイ役で現れる宣于脩之に由来し、
その姓の宣于を名とし、名の脩之を字としたわけですねえ。
ジョブが占い師なのもそれによったものですね。
宣于姓は鮮于姓と同音なので表記の違い、
別に、鮮于脩之とも表わされたわけです。
ちなみに、
定州の鮮于姓は漢人ではなく
他に朝鮮半島由来の同姓もあるみたいですが、詳しくないです。
丁零はテレケ、つまり車を意味するモンゴル語に由来するとか。
これ、要するに
匈奴の劉淵の軍勢に高車族もいたとは、
なかなかに民族色が豊かでありますね。
石勒は羯ですし。
色んな系統の顔がいたんでしょう。
こちらは映像化すると見栄えがしそうですね。
今日はこれまでとします。
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