2. 生贄の風習

この文明は、自らが崇める神に生贄を捧げる風習があった。その儀式の様式は「巫女を月神の妻として塔の頂に住まわせ、一生を隔離して過ごさせる」というもの。

正室に選ばれた生贄は年に一度だけお祭りで降りる以外、狭い塔の頂で朝から晩まで祈祷をしたり儀式をこなしたりして過ごす。生きながらにして終身生贄という風習であったようだ。但し、実際に神事を執り行うのは15歳~25歳くらいまでの期間であり、年季が明けると後進の者と神事を交代したようである。

窓からは城の庭と、その向こうに広がる集落が一望の元に見渡すことができ、人々の賑やかな暮らしを遠くから眺める日々。生贄となった少女の暮らしは、そのようなものであった。

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